英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

Fedの古い習慣

 エコノミスト誌より。21世紀の経済学と題し、繁栄度合いを測ることの難しさを説いている。
 GDPは経済的な豊かさを測る唯一のものさしである。物質的な幸福度を手短かに測定できる。しかし、GDPをめぐってはさまざまな議論が行われてきた。
 1930年代の不況のときに誕生し、最初の目的は経済の生産能力を測ることが目的だった。
 http://www.economist.com/news/leaders/21697834-gdp-bad-gauge-material-well-being-time-fresh-approach-how-measure-prosperity
TimDuy教授。Fedは昨年12月に利上げに踏み切っていこう、ずいぶんとハト派的になってきた。正常化キャンペーンをいったん中止し、今年の利上げペースも半分のペースに落とした。
 しかし、Fedの歌う歌の調子がまた変わることに警戒しないといけない。
 ボストン連銀のローゼングレン総裁がこの転換を増幅している。最近数週間で2回ほど、典型的なハト派とみられていたローゼングレン総裁は金融市場は今年の利上げの回数を過小に見すぎていると警告した。
 これは何を意味しているのだろうか。Fedとしては6月の利上げを市場が織り込むのをあまり喜んでいない。Fedとしては、できるだけ早めに、そしてゆっくりと利上げをしたいと考えている。もしリスクが静まれば、Fedは再び古い習慣を取り戻す。ここでいう古い習慣とは、四半期に一回の利上げのことだ。
 http://economistsview.typepad.com/economistsview/2016/04/fed-watch-warning-hawkishness-ahead.html
 立ち往生した経済に対し、ヘリコプタマネーはどこまで有効か。Delong教授。名目金利がゼロもしくはゼロ近傍の国にとって、財政政策は言うまでもなく当然の政策である。政府の借り入れコストがインフレ率や労働力の成長率、労働生産性よりも小さければ、負債のコストはネガティブだからだ。
 一方問題になるのは、ケインジアン流の財政乗数だ。大規模な先進国や協調的な経済拡張策がとられれば、乗数は2になると考えられている。
 財政拡張に対する嫌悪感は、現実的な思考の反映ではなく、未熟なイデオロギーに過ぎない。問題は財政刺激が適切かどうかではなく、どの程度財政政策が適切かどうかであるのだ。ドイツが1920年代にハイパーインフレを経験し、その結果ドイツ政府が経済に介入することを避ける、オールドリベラリズムを支持するのは、ドイツ人をマクロ経済学に対してアレルギーを持たせることになる、とアイケングリーン教授は書いている。
 中央銀行はそろそろヘリコプターマネーを実行することを考えるときだ。金本位制も、ミルトン・フリードマンのKパーセントルールも、また、テイラールールもすべて砕け散り、派手に焼失した。歴史の教えるところによれば、権威よりもルールに基づく金融政策は否定された。
 実際のところ、中央銀行の行動は常に財政政策なのだ。中央銀行が介入すれば、政府の将来元本と利払いの現在価値を変えることになるからだ。

 https://www.project-syndicate.org/commentary/helicopter-money-fiscal-stimulus-by-j--bradford-delong-2016-04