英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

マネタリズムの敗北

 曇り空。熊本でまた地震である。
 クルーグマン教授。マネタリズムはなぜ失敗したか、問いかけている。
 マネタリズムとは、幅広い定義においては、金融政策が経済を安定化させるために利用することが可能であり、かつ利用すべきだと信じている考え方のことだ。しかし、その考え方を信じる主張は現在知的にも、政治的にも舞台から消えうせた。クルーグマン教授は2010年にも同様の問いを立てて、遁辞手いる。クルーグマン教授に言わせれば、ミルトン・フリードマン氏のプロジェクトは常に失敗するよう運命づけられていた、ということになる。
 クルーグマン氏の指摘するポイントは以下のような点である。
 一つは、新古典派総合は都合の悪い構築物であった、ということだ。ミクロ的基礎のもとに、すべてを構築すべきだとエコノミストたちは求められている。
 政治的にも分が悪い。右派の人々は政府の介入は事態を一層悪くすると批判してきた。
 いつものように、散々な批判である。
 http://economistsview.typepad.com/economistsview/2016/04/why-monetarism-failed.html
 発端はデロング氏の「マネタリズムの消滅」と題する投稿である。15年前に「マネタリズムの勝利」と題する論文を公表している。しかし、この議論は不十分であることがはっきりしており、現在のマネタリストは本当はケインジアンであることを指摘している。
 現在、マネタリストは存在しない。米国の共和党や英国の保守党、ドイツにおいても、フリードマン流の議論や財政緊縮策を向こう見ずに信じている人々も、だ。
 http://www.bradford-delong.com/2016/04/the-disappearance-of-monetarism.html