英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

トランプの貿易政策

 久しぶりのすっきりとした朝。
 トランプ氏の貿易政策について。氏は中国からの輸入製品に対し45%の関税を課すべきだと主張している。しかし、これは世界に大きな反響を引き起こしうる。
 トランプ氏の主張の前提には、中国との輸出入ギャップを縮小すれば、米国に雇用が戻ってくるという考えがある。そして、45%の関税を課すと提案した。
 ヒラリー氏らも制裁的な行動をとると約束している。大統領選の選挙戦は米国を中国との貿易をめぐる対立を避けられなくしている。エコノミストたちは、衝突は輸出の現象を招き、米国の雇用をリスクにさらすという反動を引き起こしかねないと警告している。
 TPPなどの貿易協定の経済インパクトの計算で知られるペトリ教授は、トランプ氏の45%関税提案について反響を引き起こしうると述べている。
 ペトリ教授の試算はワーストシナリオであり、より現実的には、中国の人民元が上昇し、中国経済が減速する懸念のほうがありうべきシナリオだ。人民元が上昇するなら、関税を中国製品に対して課すのと同等の効果が発生する。
 http://www.wsj.com/articles/how-trumps-hard-line-on-trade-could-backfire-1458848243
 エコノミスト誌の最新号。「勝者総どり」という米国社会の格差や大企業の好業績ぶりをとりあげている。むろん、これが大統領選挙におけるトランプ氏やサンダース氏支持の背景になっていると言える。そして、経済の主流層のインサイダーとみられているのがヒラリー・クリントンだ。
 トランプ氏のキャンペーンによって、批判すべき点が多々見つかる。自由貿易協定からウォールストリートの無謀さなどだ。しかし、米国の資本主義における一つの問題が見落とされているようだ。腐敗的とも言える「競争の欠如」である。
 米国企業は繁栄を謳歌している。ROEは40パーセントにのぼり、GDP比の国内収益は歴史的水準に達している。
 しかも、米国企業の未来は明るいと考えている割合も高まっている。10年後、この収益が続いているかと問われると、8割の企業がそうだと答えている。1990年代には50%に過ぎなかったのに。
 http://www.economist.com/news/leaders/21695392-big-firms-united-states-have-never-had-it-so-good-time-more-competition-problem