英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

Fed100年

 今日も暑い。三連休の2日目。今週はバーナンキ議長の議会証言が予定されている。米国の金融政策への関心は当面続きそうだ。
 米国において住宅マーケットの回復に何度も言及されるようになった。ロサンジェルスタイムズの記者によるオレンジカウンティなどの住宅市場に関する記事。
 http://www.calculatedriskblog.com/2013/07/la-times-housing-rebound-in-orange.html
 国際マクロ経済学において、政策のトリレンマが存在することが知られている。政府は、固定為替レートと独立した中央銀行、資本移動の自由の3つを同時に達成できない、というものだ。これら3つの変数のうち、一つを捨ててどれか2つを選ばなければならない。今回の不況に直面して、これは先日のバーナンキ議長の講演では「great recession」と強調されていたが、この三つのトリレンマを限定的に選択しようという動きがみられた。たとえば、資本移動の自由を一部制限したり、為替レートの変動も限定的に認める、といった動きだ。
 経済ブログの世界で、このトリレンマに関する議論が盛んになっているようだ。
 http://www.econbrowser.com/archives/2013/07/assessing_the_t.html
 アイケングリーン教授によるトリレンマに関連したペーパー。Fedはどこまで、自らの政策が国際的に影響を与えることを考慮に入れているのか、あるいは考慮に入れるべきかという問題意識である。中央銀行の金融政策を国際的な影響の側面で考察したものである。特にFedの場合、そのdual mandatesの観点から政策の是非を論じられることはあるが、国際的な影響の側面から論じられることは少ない。為替レートに言及されるにしても、それは物価上昇率や失業率に与える影響という観点から取り上げられることが多い。ドル自体の価値や米国の経常収支について言及されることは非常に稀である。
 考えてみると、Fedが設立されたのは今からちょうど100年前の1913年。この100年間を振り返った考察でもある。Fed創設当時、貿易を業とする商社などにとってさほど魅力的な通貨ではなかった。ニューヨークの銀行は海外に支店を出すことはできず、国際金融の観点からみて、ロンドンに劣後していた。
 http://users.nber.org/~confer/2013/SI2013/FED/Eichengreen.pdf