英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

様子見FOMC

 晴れ。
 FOMCが終わった。100億ドル程度、買取の規模を縮小するとの観測が外れ、現状維持の決定となった。
 以下が声明文である。経済活動は「a moderate pace」で拡大していると評価し、前回7月の声明文で「a modest pace」となっていた表現が変わった。また、ダウンサイドリスクに関する記述部分において、「but the tightening of financial conditions observed in recent months, if sustained, could slow the pace of improvement in the economy and labor market. 」という一文が加わった。金融機関の与信が若干きつめになっている模様だ。
 問題は第三パラグラフ。財政問題について触れた後で、「However, the Committee decided to await more evidence that progress will be sustained before adjusting the pace of its purchases. 」と述べている。要するに、もうちょっと経済の回復ぶりを確認するために様子を見よう、というわけだ。
 http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20130918a.htm
 さて、この決定に関するWSJの論評である。様子見を決めた理由で大きいのは、Fedが期待するほど経済が成長せず、ここ数ヶ月間の金利上昇が経済回復にマイナスダメージを与える可能性を気にしたことだ。財政政策が経済成長を制約する可能性についても言及している。
 マーケットの事前予想と異なる決定をしたことについて、バーナンキ議長は「我々は市場の期待に沿って政策決定するわけではない」と釈明している。確かにその通りではあるが、市場とのコミュニケーション戦略に問題を残したことも確かである。そもそも今回の市場の期待形成は、バーナンキ議長が5月にヒントを出してから動き出した。
 次の焦点は、いつ緩和縮小をスタートするか。委員たちの予想によると、利上げは2015年かそれより遅くにスタートする、とみられている。
 今年と来年の成長率予想を引き下げた点も注目に値する。2013年は2から2・3パーセント、2014年は2・9から3・1パーセントの間の成長率だと予想している。
 http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324492604579083243936441418.html?mod=WSJAsia_hpp_LEFTTopStories
 FT紙の論評。Fedの決定は市場にサプライズをもたらした、と評している。6月のFOMC後、長期金利が上昇していることが今回の決定に影響した、と述べている。また、今後数週間で、米国議会と財政削減について大きなやり取りがあるとの見通しも、今回の決定に影響した、と評している。
 FOMC後、マーケットは鋭く反応した。株価は上昇。金価格も上昇し、10年物国債金利は下がった。
 今年中にTaperingを始めるのか否か。バーナンキ議長は複雑なメッセージを投げかけた。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/3de1c03a-208b-11e3-9a9a-00144feab7de.html?siteedition=intl#axzz2fI3eM6eX
 CalculatedRisk氏によるバーナンキ議長記者会見に関するコメント。
 http://www.calculatedriskblog.com/2013/09/a-few-comments-on-bernanke-press.html