英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

財政再建主義者の敗北

 いつものように、ポール・クルーグマンが皮肉たっぷりに、財政再建至上主義者を揶揄している。先日のオバマ大統領の就任演説を特徴づけた点の一つが、財政赤字に触れられることが非常に少なかった点だ。この点をもってクルーグマン教授は、財政再建主義者(Deficit Hawks)がその地位を失いつつある、と述べている。
 その理由をクルーグマン教授は4点ほど挙げている。一つは、財政再建主義者は財政赤字を減らさないと、ギリシャになってしまう、と警告してきたが、過去3年、そんなことは起こらなかった。いわば、オオカミ少年になっている、というわけだ。
 また、財政赤字や公共支出の規模はGDPと比べて、決して小さい数字ではないが、改善しつつあることも大きい。
 もっとも大きい要素は、民間部門の支出が委縮している中で、公共投資が経済を支える役割は大きく、今回の金融危機においても大不況に陥ることを避けることができた。この役割の大きさが、財政再建主義者の力を失わせる力になったと説く。現に、イギリスのキャメロン首相も、英国経済がリセッションに陥ろうとしているのに際し、当初掲げていた緊縮財政策を引っ込めようとしているのではないか、と。
 財政の役割について、経済論壇のみならず、政治における力関係は米国において急速に変わりつつあるようだ。
 http://economistsview.typepad.com/economistsview/2013/01/paul-krugman-deficit-hawks-down.html