英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

FOMC内のFault Line

 晴れ。風が強い。
 今日は大発会。一時株価は300円超上昇した。 
 3日に公表された12月FOMCの議事要旨によると、Fed内部で、債券買い取りプログラムをどの程度の期間続けるのか、意見が分かれてきた。WSJのHilsenrath記者はこれを”Fault Line”と呼んでいる。
 議事要旨によると、幾人かのメンバーは債券買い取りプログラムを今年末まで続けるよう求めているが、他の何人かのメンバーはそれ以前に終了すべきだと主張している。
 議事要旨が公表されると、株価は下落した。市場が想定しているより早く、債券買い取りプログラムの終了が議論されていたからだ。
 昨年12月に決めた新たな債券買取計画によると、毎月850億ドルの米国債モーゲージ証券を購入していく。もし、13年末まで買い取りが進むと、現在2・9兆ドルのFedのバランスシートは、1兆ドル膨らむ。もし、インフレ率が上昇した場合、ここまでバランスシートが拡大すると、その引締めが難しくなることを懸念する声もあがる。また、債券買い取りの判断は、雇用情勢の改善と結び付けられているが、実質的な雇用の改善が具体的に何を意味しているのか、今一つ明確でない、という批判もある。
 しかし、リーマンショック後、Fedの大規模な金融緩和に慣れた市場の感覚を、平時に戻すショック療法なのかもしれない。 http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324374004578219744175847974.html?KEYWORDS=JON+HILSENRATH
 FT紙のRobin Harding記者も同種の論評を加えている。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/8b54404c-55d2-11e2-9aa1-00144feab49a.html#axzz2Gy83UlJI
 FT Alphavilleの論評。議事要旨の中の”Several others thought that it would probably be appropriate to slow or to stop purchases well before the end of 2013, citing concerns about financial stability or the size of the balance sheet. One member viewed any additional purchases as unwarranted.”のくだりが注目されている。
 ただ、インフレ懸念やバランスシートのサイズにFOMCが注意を払っていると、あまり強く読み過ぎないほうが良い、と判断している。
 ここで、バーナンキ議長が強調していた、資産買い取りの目標と、フォワドガイダンスのthresholdsの違いを十分理解しておく必要がある。つまり、資産買い取りがストップしたからといって、ただちに保有資産を売却し、金融引き締めに入る、というわけではないということだ。資産買い取りの終了と、インフレ懸念から引締めに入ることとの間には、かなりのタイムラグがあるとみておいて良いだろう。
 http://ftalphaville.ft.com/2013/01/03/1321183/fomc-minutes-hawkish-hints-but-not-really/