英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

イエレンの2つのシナリオ

 今日は晴れ。夜から雨が降り出すらしい。

 欧米紙のリビア報道と比べ、日本の海外ニュースはニュージーランドに偏っていることが気になる。

 米国の景気回復は想定より悪い。原油価格の高騰の影響に米国経済が耐えられるか、関心が高まっている。
 http://www.ft.com/cms/s/0/a7e3540e-40e0-11e0-9a37-00144feabdc0.html#axzz1F7q5fGqq
 2010年第4四半期のGDP成長率は年率換算で2.8%増となった。事前予測は3.2%。
 予想との差異が生じたのは、一つには消費が予想ほど伸びなかったことが大きい。しかし、4.1%の増加は2006年以来の伸びだ。
 しかし、2011年の第1四半期は、エネルギーコストの上昇が効いて、減速しそうだが、2011年通年の需要は依然強固だとみる意見が出ている。
 ミシガン大学とトムソンロイターの消費者センチメント調査では、エネルギー価格の上昇に直面しても消費態度を変えないとの結果が出ている。
 しかし、エコノミストの中には、中東動乱の影響は無視できないと警告する意見もある。
 今回のGDP統計におけるもう一つのサプライズが、財政危機が連邦政府、地方政府に拡大することからくる政府支出の弱さだ。いくつかの自治体では財政収支をバランスさせるために大胆に支出を削るところも出ている。
 貿易収支も大きい。輸出は想定より弱く、9.6%の伸びにとどまったが、輸入は12.4%も減少した。
 
 リビアの続報。
 http://www.ft.com/cms/s/0/3ae48ef0-41b6-11e0-8366-00144feabdc0.html#axzz1F7q5fGqq
 カダフィ大佐の権力掌握の力が徐々に弱まっている。トリポリの一部では、コントロールできなくなりつつある。暴動が起きて、10日が過ぎた。
 カダフィ大佐の西側諸国のおける安全保障の同盟国であるイタリアのベルルスコーニ首相は、「カダフィ大佐はもはや同国を支配しているとは思えない」と述べた。
 国境付近では、外国からの進入を防ぐために、非常線が張られているという。戦車や対空兵器が備えられている。
 
 マネーサプライより。Fedのイエレン副総裁の2つのシナリオと題する投稿。イエレン副総裁が25日に行ったスピーチに基づいている。
 http://blogs.ft.com/money-supply/2011/02/25/two-fascinating-scenarios-from-janet-yellen/
 http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/yellen20110225a.htm
 今後数年間で採りうる政策オプションとして、2つのシナリオを挙げている。
 一つは金融引き締めが遅れるシナリオ。チャートで、政策金利が市場の期待より1年遅れるシナリオを示している。最初の利上げは2012年の半ば。コアインフレ率は、2012年末に0.3%ポイント高くなる。失業率は2013年末に0.5%下がるシナリオだ。
 シナリオ2は、資産売却を加速させるシナリオ。2012年半ばから2014年初頭にかけて、Fedのバランスシートを徐々に小さくすることにより、コアインフレ率は0.2%ポイントほど低くなり、2013年末の失業率は0.4%ポイントほど高くなるという。
 この2つのシナリオは、Fedの利上げと資産売却の関係に関する質問に答えたものだ。資産売却シナリオは、利上げを前提としているが、その効果はそれぞれ異なる。
 また、利上げ時期を1年遅らせるシナリオは、QE3よりも、コアインフレ率を0.3%ポイントほど押し上げる。

 Gavyn Daviesのコラム。今回の原油価格高騰のインパクトについて分析している。 http://blogs.ft.com/gavyndavies/2011/02/24/how-big-is-the-2011-oil-price-shock/
 世界のGDPに占める原油消費の割合は5%。1バレル20ドルの価格上昇は、世界の消費支出を1%増加させる。
 では、次に何が起きるか。原油価格上昇に伴い、金融引き締めが起きる。その影響は国によって異なる。