英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

テック企業、銀行を強襲する

 テクノロジー企業が銀行を急襲している。エコノミストより。

 デジタル革命がとうとう銀行業にも及んでいる。過去20年以上にわたり、世界中の人々はデジタルサービスが経済や生活を変革するのを目撃してきた。タクシーや映画、小説や医師などは、画面をタップするだけで呼び出すことができるようになった。小売りや自動車製造、メディアなどの巨大企業は、新たな競争相手に苦戦を強いられている。

 しかし、ある産業だけは、この混乱を耐え抜いている。銀行業だ。豊かな国では、19世紀に創設された企業のロゴを押した預金口座や支店で列にならぶのは珍しいことではない。

 しかし、今週のレポートが説明するように、テクノロジーがとうとう、銀行業を脅かそうとしている。アジアでは、支払いアプリを使うユーザーが10億人を超えた。西側諸国ではモバイル銀行を使う人がクリティカルマスに到達した。アップルはゴールドマンサックスと進めているクレジットカードを明らかにし、フェイスブックも支払いサービスを提案している。

 これらが意味するところは、銀行は通常の企業ではないゆえに、明らかである。ビデオがテクノロジーの変化で消滅したように、バンカメが犠牲者になってもおかしくない。満期変換という難しいトリックを使い、預金者を消費や投資に向かわせることができる。銀行はあまりに死活的に重要なので、彼らが停滞すると、経済も低迷してしまう。

 それゆえに、銀行家や政治家はテクノロジーの変化に抵抗する誘惑を持つ。しかし、利益がリスクを上回っているために、こうした動きは間違いである。

 銀行業はスマートフォン時代に乗り遅れた。そして、金融危機以降、西側諸国の銀行はバランスシートを改善するために半ば国有化された。

 アメリカや欧州では大手銀行が多かれ少なかれ、デジタル製品に殺到している。しかし、脅威は残っている。モバイルだけで、店舗のコストを負わない「ネオ銀行」は、少しずつ顧客基盤を侵食している。ペイパルのような決済企業は、利益のより大きなシェアを得つつある。

 変化のスピードも高まっている。若い人々はもはや、親世代と同じ銀行を選ばない。アップルやアマゾンのように人々が信用している企業は、新たな金融の自然な候補である。

 テクノロジーの変化の恩恵は、より広大に広がりそうだ。

 https://www.economist.com/leaders/2019/05/02/techs-raid-on-the-banks

事前予想上回る4月の雇用統計

 晴れ。

 4月の雇用統計が発表された。失業率は過去50年間でもっとも低い水準に低下し、新規雇用者数も増加した。

 事前予想よりも強い数字であり、成長が堅調であることをうかがわせる。

 米国の労働市場は4月に歴史的な力強さをみせた。しかし、最新の数字は、10年近くに及ぶ景気拡大を維持できるほど、労働者が労働市場に入り込んでいるのか、疑問も突き付けている。

 4月の新規雇用者数の増加幅は26.3万人だった。これは103か月連続の増加である。失業率は3.6%だった。これは1969年12月以来の低さである。民間エコノミストも、この拡大過程が続くとみている。

 市場はこの数字に前向きに反応した。ダウ株価指数は197ポイントの上昇。今年初めの株価はさえない展開で始まったが、ポジティブに反応した。ただ、経済は減速しつつあるというのではなく、かといって過熱しているのでもない。Fedは待ちの姿勢を続けるとみている。

 雇用統計の数字は事前予想よりも良かった。これほど長い雇用拡大過程により、米国人の労働市場は限界に近付いている。賃金上昇率は近年、勢いを増している。特に小規模企業における労働者の賃金が上昇している。また、失業者も歴史的に低い水準まで下がっている。教育水準の低い人々においてそうだ。

 民間部門の労働者は4月に堅調に賃金が上昇した。平均時給は前年比で3.2%も上昇した。昨年、初めて賃金上昇率が3%を超えたが、その後、賃金上昇率は加速していない。しかし、物価の上昇率よりも賃金上昇率の方が高く、労働者は実質賃金の上昇を享受している。

 同時にエコノミストらが期待しているのは、力強い雇用の成長と賃金の上昇によって、労働力に帰ってくるアメリカ人が増えるということだ。米国人の労働参加率は1年前と変わっておらず、労働力の数は減っている。

 また、ISMの調査によると、特に製造業とサービスセクターの企業における雇用の回復が鈍い。そして、この調査が同時に示しているのは、幅広い経済の分野で活動が冷え込みつつあることだ。

 https://www.wsj.com/articles/u-s-hiring-jumps-in-april-unemployment-falls-to-3-6-11556886731?mod=article_inline&mod=hp_lead_pos1

Fed理事候補ムーア氏、指名プロセスから撤退

 晴れ。

 トランプ氏は、ムーア氏のFed理事指名をあきらめた。ムーア氏の女性に対する発言や個人の財産問題、そして、Fedに対する考えを聴いて、上院議員らが関心を寄せたことがダメ押しとなった。

 共和党上院議員の反対により、トランプ氏による中央銀行内における政治的同盟者を作ろうという努力は後退を余儀なくされた。

 トランプ氏はツイートにおいて、保守的なコメンテーターのステファン・ムーア氏がFedの指名プロセスから離脱することを決めたと発表した。ムーア氏自身がWSJなどの取材に指名に向けて努力を続けると発言してわずか2時間後のことだ。

 今回の撤退により、トランプ氏が始めた、6週間にわたるFed理事指名運動が終わりを告げた。

 ムーア氏とケイン氏の指名プロセスからの撤退により、明らかになったのは、上院議員らは中央銀行の独立性を強調していることだ。トランプ氏自身が指名したパウウェル議長のことを、トランプ氏は金利を高く保つ傾向にあると批判した。これはホワイトハウスによる金融政策への介入の先行例だとみなされている。

 共和党上院議員たちは、ムーア氏は上院での指名を得られる見通しがはっきりしないため、いずれ撤退するだろうと感じていた。

 https://www.wsj.com/articles/stephen-moore-says-not-withdrawing-for-fed-job-consideration-11556811059?mod=hp_lead_pos1

金利を据え置いたFOMC

 曇り。今年のGWの空はさえない。

 FedFOMCを開き、金利を据え置いた。低いインフレと消費が芳しくないことへ、シグナルを発した。

 パウウェル議長は記者会見で、「3月の前回会合以降に入ってきた指標をみると、われわれの期待通りに進んでいる」と述べた。そして、「経済全体は健全な道のりをたどっており、Fedとしては現在の政策姿勢は適当であると信じている」という。

 2日間にわたる会合後に公表された声明文をみると、大半の委員はGDPが想定よりも高い数字を示した先週の報告について、家計の消費と企業の設備投資が減速していることについて関心を寄せた。

 また、

 https://www.wsj.com/articles/fed-holds-rates-steady-says-spending-inflation-have-slowed-11556733726?mod=hp_lead_pos1

ドル・ルネッサンス

 曇り。

 アップルのアイフォンの売り上げが17パーセントも落ちている。ただ、株価は上昇に転じた。

 https://www.wsj.com/articles/apples-iphone-sales-drop-17-11556656250?mod=hp_lead_pos1

 FOMCを前に。

 Fedが政策の方向性を変えたのに、ドルの動きはなぜ連動しないのか。米国経済の力強さを背景にドル高が続いている。

 先週、ゴールドマンサックスのトップ通貨ストラテジストがタオルを投げた。数か月にわたり、ドルについて弱気の見通しを続けてきた。しかし、先週金曜日になって、ドルの再興を受けて、ユーロは弱い状態が続くと見通しを変更した。

 Fedが政策をシフトさせたにも関わらずドルのルネッサンスが続いている。Fedは昨年の市場混乱を受けて、今年1月になって政策をUターンさせた。そして、3月には今年の利上げ計画を棚上げした。今週水曜日に開かれるFOMCでこの調子が変わると見通す人はほとんどいない。

 ドルが強いのは、米国経済に力強さが戻っているからだ。そして、世界のほかの国々と比べても金利は依然として高い。一方、ユーロは2年ぶりの低い水準に沈んでいる。

 アメリカの国境外の動きとしてもっとも顕著なのは、ECBの動きだ。成長率は上向く兆しが見えているのにも関わらず、しばらく高金利の時代は遠いとしたのだ。ECBの預金金利は依然マイナス領域にある。

 https://www.ft.com/content/362f1c62-6afd-11e9-80c7-60ee53e6681d

スペイン総選挙続報

 雨。

 スペイン総選挙の結果社会党が単独政権を模索している。右派勢力は分裂し、敗北しているが、連立政権の可能性も残されている。

 勝利した社会党のカルボ副首相は、単独政権を模索すると述べた。社会党は350議席のうち、123議席を獲得する見通しだ。2016年の前回総選挙から37議席を積み増した。右派勢力は分裂し、議席を獲得できなかったことが大きい。

 社会党はラホイ首相率いる人民党が昨年、信任投票を行って以来、少数与党政権を率いてきた。しかし、予算案を通すのに失敗した後、2月に解散総選挙に打って出ていた。

 総選挙は社会党のサンチェス氏に対する信任投票の色合いが強い。

 https://www.ft.com/content/42421f70-6a5a-11e9-80c7-60ee53e6681d