英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

欧州経済を悩ます「3つのS」

 雨。

 欧州経済が直面する3つのショック。エネルギー危機の後、中国からの輸入品が急増し、トランプ大統領による関税引き上げの脅しもある。英語のスペルをとって「3S」と言える。

 欧州はダイナミズムではなく、いかなる基準からみても停滞している地域だとみなされている。ロシアのウクライナ侵攻により、この10年間の成長率は4%にとどまった。これは8%成長の米国と大違いだ。英国に至っては2022年末以降、まったく成長していない。

 しかも、エネルギー危機だけではない。欧州は中国からの安い輸入品の急増に見舞われている。これは消費者にとってメリットをもたらすが、欧州の製造業者には打撃を与える。

 最後に、1年以内にトランプ氏がホワイトハウスの主人となるだろう。その結果、欧州の輸出品に巨額の関税が課されることになる。

 この不幸がやってくるタイミングは悪いものだ。大陸欧州は防衛費支出を増額するために、より高い経済成長が必要とされている。アメリカによるウクライナ支援が枯渇したり、グリーンエネルギーの目標を達成する必要がある中、とくに求められる点だ。有権者は既存政党に幻滅し、極右政党への共感を寄せるようになっている。

 欧州が直面するショックは外からやってきたものだが、欧州の政策当局者に過ちがそのダメージを増幅している可能性が高い。

 良いニュースは、エネルギーショックがピークを越えたことだ。ガス価格はピーク時よりも低下している。しかし、それ以外の危機は始まったばかりである。デフレ圧力に直面し、中国政府は家計消費を刺激しようとしている。習氏は補助金を使って中国の製造業を支援しつつある。そして製造業を元気づけるために海外の消費者に頼ろうとしている。

 中国が焦点を当てているのは、とりわけ電気自動車だ。

 https://www.economist.com/leaders/2024/03/27/the-triple-shock-facing-europes-economy