英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ブラックストーンのファンド危機

 曇り。

 ブラックストーンはプライベートエクイティファンドの発足を遅らせるかもしれない。投資家の資金引き出しが続いている。ブラックストーンは投資家の償還要求の波にさらされている。

 ブラックストーンは富裕層個人向けのPEファンドを新しく組成する予定だった。しかし、それが遅れるリスクが高まっている。というのも、それ以外の不動産とクレジットを資産対象にした2つのファンドで資金引き出しが起きているからだ。

 ブラックストーンはニューヨークに拠点を置く投資マネージャーで、ブラックストーン・プライベ―ト・エクイティ戦略ファンドを立ち上げる準備を進めていた。これは富裕層向けの旗艦ファンドになる予定だった。ブラックストーンは伝統的に年金基金など機関投資家向けビジネスをしてきた。

 しかし、ここ数日、富裕層個人や金融アドバイザーに対し、金融市場の条件などのため、少し待つよう告知した。ローンチは2023年初めになるかもしれない。

 不動産ファンドからの資金引き出しは将来の成長とブラックストーンの株価への関心を高めている。類似のBTASと呼ばれるファンドの新規資金募集も行わない。

 金融危機の数年後から、ブラックストーンの創始者であるシュワルツマン氏は年金基金以外の投資家から幅広く買収ビジネス資金を集める道を模索してきた。

 ブラックストーンがすでに運用しているBリートやBクレッドといった不動産やクレジットに投資するファンドと異なり、BXPEは配当がない。投資家はどこでリターンを得るかというと、予測できない資産売却か、複雑で頻発しがちな資産洗い替えによる評価益か評価減によるしかない。

 https://www.ft.com/content/c77ea4fa-f9b9-4032-9b0b-46391d88872a

 原油価格が大きく下落し始めている。

 ロシアからの供給制約が新たに生じようとしているのに、なぜ原油価格は下落に転じているのか。今週は地政学的に転換点となった。欧州諸国とG7はロシア産原油の価格の上限を設定したのだ。

 ロシアは西側諸国による恥辱的事態に直面し、この上限価格施策に賛同する国への輸出を停止すると脅した。早速、ボスポラス海峡を航行するタンカーの数が減ったことが確認された。

 普通であれば、こうした出来事は原油価格を急上昇させるものだ。特にOPECプラスが減産を表明して数週間の出来事であればなおさらだ。しかし、木曜日のブレント価格は76ドルをつけ、2022年の安値を更新した。何が起きているのか。

 1つは、制裁があってもロシア産原油は依然市場に出回っているからだ。また、OPECプラスの減産はさほど大きなものではない。

 ロシア原油に対する価格キャップは、緩やかな制裁に過ぎない。

 https://www.ft.com/content/202d0463-184c-4b14-8eb9-6fc80f147b16