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ハリス副大統領の「失言」

 曇り。

 米国のハリス副大統領がグアテマラを今週訪問する間にテレビインタビューに応じた。多くの移民が押し寄せている米国とメキシコの国境に今までなぜ、行ったことがないかと聞かれ、最初はその質問を退けた後、欧州にも行ったことがない、と答えた。

 彼女のこの発言は批判を招き、政治的な危機を巻き起こす可能性がある。彼女自身の政治的な経歴は複雑で、その扱いに困っているようにみえる。

 ハリス氏は現在、バイデン政権の国境問題担当として中米を訪問している。グアテマラエルサルバドル、ホンドュラスなどの問題国から北へ逃れてきた移民たちの問題にどのように対処するのか、問われている。

 彼女は同時に、意見が大きく割れている議会において、警察改革や投票権問題などの扱いにくい問題の対処も任されている。また、ワクチンの接種率の低いアフリカ系アメリカ人を含め、人種平等問題も彼女の担当である。

 副大統領として初めての外国訪問を行ったハリス氏は、政治家としての欠点と大統領になるための脆弱性を示した格好だ。ハリス氏はカリフォルニアの前上院議員だったが、2019年の予備選挙ホワイトハウスへの道を断念したことがある。

 彼女のコメントが今週、NBCニュースで流れると、特に共和党議員の間で大きな怒りを巻き起こした。民主党のストラテジストは、中米訪問において彼女が効果的にメッセージを伝えることに失敗したと指摘している。

 「もし副大統領として国際部隊に立つデビュー戦に臨むのであれば、ベストのパフォーマンスを示さないといけなかった」という。

 彼女は副大統領として最初の女性であり、黒人出身の副大統領である。同時に、上院において投票の結論を左右する権限も保持している。しかし、それ以外の副大統領としての仕事はいまだにはっきり定義されていない。

 政権に近い関係者によると、ハリス氏は大統領に対する適切な助言者であり、ホワイトハウスで存在感を常に高めているという。

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