英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

イランと中国の非対称な関係

 晴れ。

 米国株はテック株主導で上げた。選挙に関する懸念が後退している。

 バイデン氏のリードは揺るがず、今後数カ月間における変動への懸念が後退している。

 https://www.ft.com/content/1dcbbed2-6d9e-4898-98bf-00e98a19eb5b

 イランと中国の非対称な関係。イラン側は中国と戦略的な関係を築きたいと考えているが、中国側からすると、イランは大局的な戦略の中でいう一つの駒に過ぎない。

 中国という国は中東においてはある神秘的な存在感を醸し出している。ハイパーインフレの危機に瀕しているレバノンにとって、中国は数十億ドルの資金を引き出せるATMのようなものだ。アサド大統領率いるシリアにとっても、中国は国を立て直すための重要な存在だ。

 10月1日、イランのロウハニ大統領は中国との関係について重要なステップを宣言した。数カ月にわたり、両国は25年間の戦略的パートナーシップについて議論してきた。しかし、その詳細はあいまいなままだ。

 漏れ伝えられる戦略案によると、道路から港湾、通信や核エネルギーにわたり、中国の投資を求めている。合意すればおそらく、中国はイランの石油産業に対して大きな割合で出資することができる。インフラプロジェクトは、イランを中国の一帯一路戦略に縫い込むことになる。

 イランのメディアには、ペルシア湾にある自由貿易圏の島の権利まで中国に譲り渡すとのうわさまで流れている。イラン政府は、この噂はでたらめである、と否定している。

 こうした中国の新しい友好関係について、ワシントンは警告を発している。マイク・ポンペオ国務長官は、こうした動きは中東を不安定化させると警告している。他の中国による中東外交と同様、イランとの関係についても野心は長大だが、詳細に欠けるというのがその特徴だ。

 これらの提案はイランの自暴自棄ぶりと、中国の野望に対する限界を示しているようにみえる。

 コロナウイルスの流行を待つまでもなく、イラン経済は痛めつけられていた。2018年の米国による制裁がイランの石油生産を最低水準まで落ち込ませた。7月時点の原油生産量は日量190万バレルにとどまっている。これは2018年の制裁前の半分に過ぎない。生産された石油の大半は国内に使われている。輸出に回るのはわずか50万バレルに過ぎないとみられる。

 制裁はイランの核開発プログラムに制限をかけるという目標到達に、失敗した。イランの通貨リアルは、制裁前には1ドル3800リアルだったのが、現在は2万9500リアルまで減価した。

 中国はこの空白を埋めるべく動き出している。

 https://www.economist.com/middle-east-and-africa/2020/10/10/iran-wants-a-strategic-partnership-with-china