曇り。
フランスの新しい首相に知名度のない人物が就任した。「ミスター・アンノウン」である。ほとんどの人々がジャン・キャステックス氏のことを知らない。
数週間に及ぶ憶測の後、フランスのマクロン大統領はジャン・キャステックス氏を新しい首相に選んだ。フィリップ首相の後任である。この選任に、多くのフランス人はこう答えるだろう。「ジャンって誰?」
彼は現在、ピレネーにある村の中道右派の村長である。そして、ロックダウン戦略の計画を立てた中心人物でもある。フランス人の大半は彼のことを知らなかっただろう。
最初の印象として、キャステックス氏は前任者のカーボンコピーのように見える。フィリップ首相同様、キャステックス氏もエリート校であるENAの出身で、フランスの公務員の上位層として働いてきた。
そして、中道右派の共和党を評価してきた。サルコジ首相時代に、キャステックス氏はエリゼ―宮の副事務官を務めた。
新しい内閣の全体像はまだ明らかにされていないが、キャステックス氏自体の選任は左派に向かうことはなく、緑の党に組みするのでないことを意味している。
6月28日の地方選挙でマクロン氏率いる政党は大敗を喫した。緑の党が大都市で躍進し、大統領の政治的支持基盤を大きく浸食した。マクロン氏には政策決定過程において緑の党寄りの政策を採用する圧力がかかっている。同時に、コロナ危機後の対策として公的支出を求める声も高まっている。キャステックス氏がこの新しいかじ取りをこなすのは相当の困難が予想される。
だが、都会のエリートを体現するマクロン氏と異なり、キャステックス氏は週末にはピレネーの村に戻り、村の市長として76%の得票を得て再選されてる。
https://www.economist.com/europe/2020/07/03/france-gets-an-unknown-new-prime-minister