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ハーツのエクイティファイナンス

 雨。

 経営破綻したハーツが、エクイティファイナンスを認められた。異例のことである。ハーツとしては10億ドルの資金を調達したい考えだ。

 経営破綻したハーツグループは、10億ドルを上限とする新規の株式発行が認められたと発表した。投資家は、破綻企業の株式を購入することで投機的な利益が得られる。破綻企業投資の熱狂がこうした異例のファイナンスを後押しした格好だ。

 今回の資金調達は破産裁判所が金曜日に認めた。これにより、同社の再建のための資金調達にベストということであれば、ハーツの経営陣は自由に株式を売り出すことができる。

 デラウェアの破産裁判所の判事は「株式による資金調達のコストのほうが、ローンのコストよりもずっと安い」と述べた。

 通例であれば、金融上の再建過程にある破綻企業は、重いコベナンツ条項や制限のついた割高なローンに頼ることが普通である。そして、株式による資金調達は通常であれば、選択肢に入らない。というのも、ある意味当たり前のことだが、破綻企業の株式価値はゼロに近いからだ。

 ハーツは5月に破産申請を行った。空港を拠点にレンタカー事業を営んでいたが、コロナウイルスによる旅行需要激減が直撃した。ハーツの株価は1ドルを下回っていたが、金曜日には3ドル近くを付けた。

 ビデオで開かれた裁判所の聴取において、担当弁護士はここ数週間、旅行需要は緩やかに上向いているが、ハーツの株価はこうした基礎的条件にリンクして動いていない、と述べた。若い世代の投資家に浸透しているロビンフッドのような株式取引プラットフォームが、こうした動きを助長しているという。

 一方、既存株主からは株式希薄化のリスクがあり、反対する声があがっている。しかし、債権者からは、損失のクッションができることで歓迎の声があがっている。

 https://www.ft.com/content/b5cd8a1d-7f76-4603-9310-b7b2a4a23cfb