英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

消費者の節約志向が経済回復を遅らせる

 Gavyn Davies。消費者の節約が経済回復の障害になると指摘している。米国の貯蓄率は高水準を記録している。

 今回の景気後退を正確につかむのは、厚い霧のなかでじっと目をこらすすようなものだ。全貌をつかむには、第2四半期のGDPデータが7月に出てくるのを待つしかない。しかし、とくに米国において経済が落ち込む際の現象が明確になっている。多くの点において、今回の景気後退は通常の景気後退の大規模版、とでもいうべき性格だ。

 今回いつもと異なる点といえば、米国の消費者の消費が、個人所得の低下とともにやってきたのではなく、貯蓄率の上昇とともにやってきた点だ。この点は、消費者は依然として回復に懐疑的であることを意味している。

 GDPはいわゆる三面等価の切り口で検証できるが、そのうちの付加価値の指標をみてみる。アトランタ連銀のGDPナウをみると、第2四半期のGDPは年率換算で前期比41.9%のマイナスとなりそうだ。ニューヨーク連銀のナウキャストは、年率で30.5%の減と予測している。

 いずれにせよ、1930年代以来の最悪の落ち込みとなりそうだ。

 労働市場の反応は典型的なものだ。失業率はおそらく20%近くまで上昇しそうだ。通常の景気後退であれば、雇用の減少は民間部門の所得の減少という形で反映される。失業給付は従前の所得を完全に保証しないからだ。

 しかし、2020年の景気後退は今のところ異なる。感染拡大が起きて以降、3900万人のアメリカ人が職を失い、それに伴い、3月の実質可処分所得も一時的に低下した。一因は、行政のボトルネックがあって、失業給付の支払いが遅れているためだ。しかし、政府のコロナ対策などで、こうした所得の減少は一部補うことができそうだ。

 しかし、こうした所得補償にも関わらず、消費は崩壊状態にある。特にサービスセクターや自動車のような消費で打撃が大きい。

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