写真で振り返るこの10年間。こうしてみると、毎年のように戦争で人が死に、権威主義的な政治が一層はびこっていることを痛感する。
2010年は自然災害が起き、米国軍はアフガニスタンで困難なミッションに見舞われた。
タリバンの夫に耳と鼻をそがれた女性の写真が痛々しい。
2011年は「アラブの春」が起き、それが中東に広がった年だった。リビアのカダフィ大佐が追放され、殺害された。また、先進国では「オキュパイ運動」が始まり、経済格差に対して強い声があがった。
3月11日には東日本大震災が起きた。2万人近い人々が死亡し、福島第一原発がメルトダウンした。
2012年。ハリケーンサンディが北東部を襲い、銃撃による大量殺人事件が起きた。シリアでは内戦が続いた。
アレッポにおける2012年10月18日の写真は、銃撃で穴の開いた拠点を死守する兵士たちの姿が写っている。シリアの病院ではけがをして治療を求める多くの人々の姿がみられた。
この年はプーチン氏が大統領に復帰した年でもある。彼の就任式に合わせ、路上では大規模な抗議デモが起きた。
中国ではチベット抑圧に抗議して、自ら火をかぶって走る男の姿がある。
2014年、ウクライナで大規模な抗議デモが起きた。ヤンコビッチ政権に対する抗議が続いのだ。停戦にも関わらず、ウクライナの東部では戦闘が激化した。この年は西アフリカでエボラ熱が大流行し、数百人が韓国の自然災害で死亡した。トルコでは10代の若者たちが、抗議デモに立ち上がった。
トルコでは15歳の少年が警察によって殺されたことに抗議した。
2015年はヨーロッパに多くの難民が押し寄せた。トルコのボートでギリシャ沿岸にたどり着いた難民たちの姿。2015年だけで100万人の難民が欧州入りした。多くが中東における戦争や貧困を逃れてきた人たちだ。
2015年はパリがテロ攻撃を二度にわたり受けた。
そして、2015年、世界を変えた1枚の写真も掲載されている。2015年9月2日、3歳のシリアの子供が波打ち際で死んでいる写真である。
2016年はトランプショックが駆け抜けた年である。英国人たちはEU離脱を決めた。そして、この年、キューバのカストロ議長が死亡した。
2017年、米国では相変わらず銃を使った大量殺人事件が起きている。10月1日にラスベガスでは、男が銃を乱射し、58人が死亡した。この年、ミャンマーからバングラデシュに逃れるロヒンギャ難民たち。64万人以上の人々がミャンマーを逃れた。
2018年、イエメンで人道危機が起きた。7歳で亡くなった女の子は、栄養失調でやせ細ってしまった。
