フィリップスカーブについて。サンフランシスコ連銀より。
米国経済は長期でみて持続可能な成長軌道にある。これは多くの指標をみてもそうだ。経済成長率は高く、経済は資源の制約に近づいている。失業率も低く、2018年下期は平均3・8%で推移している。
そのことは、経済にはスラックがほとんど限定的であることを示している。そして、もしそうであれば、物価や賃金にインフレ圧力がかかっても通常はおかしくない。しかし、コアPCEは2%に過ぎない。インフレはどこへ向かおうとしているのか。
本稿では、我々がよく分析で使うフィリップスカーブのフレームワークについて、インフレの動学を検証してみる。このフレームでは、インフレと経済のスラック、過去のインフレ率、期待インフレ率の関係をみる。我々の分析によると、リーマンショック後、インフレ率は経済のスラックよりも将来のインフレ率に対する期待によって左右されていることがわかった。言い換えると、フィリップスカーブがフラット化していることを意味している。
インフレ期待が重要になっていることは、標準的な金融政策を実行するうえで、新たなリスクも示している。