英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

香港のドルペッグ外し

 連休がいよいよスタート。穏やかな春の日だ。昨日は内外のいろんなニュースが洪水のように集中した一日だった。
 連休前ということもあるのか、昨夜の繁華街は震災前のような賑わいを取り戻しているように見えた。
 NHKの放映しない大相撲の技量審査場所をネット動画が中継するそうだ。南相馬市長がネットを通じたアピールで世界に注目されたように、メディアの主役交替を象徴づける。
 その一方、取材の現場で組織力を生かして、きちんと、地道に情報を集めているのは、旧来型の新聞や通信社、NHKで、ニュースの作り手の事情と、受け手である消費者のニーズのギャップはますますかけ離れていく。

 Fedの初めての記者会見をめぐり、いろんな論評が出されている。
 http://blogs.ft.com/money-supply/2011/04/28/central-bank-press-conferences-fed-vs-boe/
 総裁や議長と、その他の政策委員会の委員の講演や発言との整合性、バーナンキ議長が唱える「強く、安定したドルを望む」というマントラ、礼儀正しい記者とのやり取り、英国も米国も、そして日本も、中央銀行財政再建問題に直面している点・・・。Fedウォッチャーにとって、今回の会見は一つの転機になるのかもしれない。
 
 米国の第1四半期のGDPは、昨年第4四半期の3.1%から減速し、1.8%に。米国経済の減速を受け、ドルが3年ぶりの水準に下落。高インフレと低金利の継続が、米国経済の先行き見通しを悪くしている。
 http://www.ft.com/cms/s/0/4906edc4-6fb1-11e0-952c-00144feabdc0.html#axzz1KOkNCz00
 一方、金や豪州ドルは新高値をつけた。銀も30年ぶりの高値で引けた。
 インフレ率は3.8%に。
 一方、企業業績は堅調だ。ドイツ銀行やシェル、バイエルは事前予想を上回った。 金は、将来のインフレヘッジと紙の通貨に対する防衛策の両方の理由から買われ、1538ドルをつけた。
 FedはQE2を予定通り終えるとしたが、トレーダーの何人かは、償還された資金を再投資するQE2.5があるとみている。Fedのバランスシートはしばらく同水準でとどまりそうだ。
 
 香港が米ドルペッグを放棄する機運が高まっている。香港では人民元預金が急増しているという。これは何を意味するのか。
 http://www.ft.com/cms/s/0/ff3c8f18-71af-11e0-9adf-00144feabdc0.html#axzz1KOkNCz00
 アジア通貨に対し、貿易加重平均で米ドルが歴史的な低水準に陥っている。
 過去、地政学的な不安定さが生じると、安全通貨としてドルが選好されてきた。しかし、今回は様相が異なる。香港では、ドルペッグを拒否する雰囲気が広がってきた。
 もし、香港がドルペッグを放棄すれば、中東湾岸諸国にも同様の動きが広がるだろう。クウェートはすでにドルペッグをやめている。
 香港の法律では、香港ドルは自由に交換される通貨にペッグする必要があるとしている。この点、中国人民元は資本移動が規制されているので、米ドルの代替にはなりえない。しかし、バスケット通貨に人民元を入れるのは違法ではない。経済の命運は、米国より中国大陸の方が、より一体感があると言えるからだ。
 香港ではドルより人民元保有を選好する人が増えている。香港における人民元預金は、4000億元に達している。2012年末までに、その5倍の2兆元に達すると予想されている。
 ところで、香港における人民元預金は、何を意味しているのだろうか。
 一方、香港ではインフレ圧力が一層強まっている。中国からのインフレが輸入されている上、中国人民元が米ドルを通じて増価されているからだ。
 米ドル預金を拒否する動きがあまりに広まっているため、香港の小規模銀行の間では、ホールセール市場でドルを調達する動きが出ている。
 
 スペインの失業者数が14年ぶりの高水準を記録している。今年第1四半期に約500万人に到達。失業率はなんと、21.3%!
 http://www.ft.com/cms/s/0/2c06aeb6-7237-11e0-96bf-00144feabdc0.html#axzz1KOkNCz00
 ただ、非登録労働の問題があり、25歳以下の若年労働者の失業率は、40%に達している。これはユーロ圏の平均の2倍。
 また、3月の小売業売上高は、年率換算で8.6%減少。
 一方、ECBはインフレに対応するため、利上げに踏み切った。さらなる利上げも予想されている。エコノミストの中には、利上げがスペインのような欧州周縁国の経済に打撃を与えないか、懸念する声も出ている。