英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

オズボーン訪米

 今日も晴れ。川面も静かだ。今年の仕事は、実質的に今週が最後になる。

 FT紙は、ジリアン・テット記者のコラムから。テーマは米国の財政問題について。冒頭の魅力的なエピソード、歴史的なパースペクティブを持った両国比較といい、コラムのお手本になる。
 http://www.ft.com/cms/s/0/c103ccd2-0bbd-11e0-a313-00144feabdc0.html#axzz18bJwKTxm
 英国は、米国がこれまで避けていた財政問題にどうしてこれほど大胆に取り組むようになったのだろうか。英国のオズボーン財務相が今週末、ニューヨークを訪れたという。各種の食事会などで彼が話すと、尊敬のこもった賞賛で迎えられた。
 オズボーン財務相が賞賛を浴びるのは、英国が複数年の財政改革プランを策定しただけではなく、それを実行に移しているからだ。
 英国同様、米国も公的債務が急増している。しかも、最近、両党からなる委員会が、英国に似た政策手段の組み合わせで債務を中期的に約4兆ドル減らす提案を行った。
 しかし、その提案は暗礁に乗り上げている。しかも、オバマ大統領はブッシュ減税(8580億ドル)を継続することで共和党と合意せざるを得なかった。このことは、米国の公的債務がもっと増加する危険性をはらむ。この点、英国とのコントラストがより鮮明に映った。
 もちろん、オズボーン財務相は国内で信頼を得ようと苦労している。公衆の支持はわれわれにある、とオズボーン財務相は言うが、現実は政治的文化や構造が英国と米国の違いの背景にある。米国の2大政党制と違い、英国の3大政党制のほうが連立を組みやすい。  
 より一層重要なのが、英国は5年間政権に就くことができるので、連立政権は選挙の洗礼なしに財政再建を提案することができることだ。一方、米国は対照的に、2年サイクルで選挙の洗礼がやってくるので、政党間の妥協は相当困難だ。
 英国の有権者は1970年代に厳しい緊縮財政の時代を経験した。そして、1世紀にわたる国の衰退の感覚とともに生きてもいる。
 しかし、米国はそうではない。公的債務減らしは、時に国の威信やアイデンティティとも結びついている。
 米国と英国では地政学的な違い、マーケットの違いもある。危機の震源地である欧州のそばにあったことも大きい。
 しかし、米国では政治家の頭を中期的な財政再建に振り向けるには、外的なショックなどが必要になる。ブルームバーグ市長にとって、アイルランドギリシャポルトガル財務大臣をつれてくるのが次の仕事になる。 

 その米国で出た公的債務減らしの提案。 
 http://www.ft.com/cms/s/0/dd6bcb6c-f1a6-11df-bb5a-00144feab49a.html#axzz18bO8uS3o