英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

リーマンマーク2

 今日は土曜日。昨夜の雨がすっかりあがって、気持ちの良い陽気だ。テニス日和。

 米国の4月の労働統計が発表された。失業率は若干上昇し、9.9パーセントに(3月は9.7パーセント)。4年間で最大、4ヶ月連続で増加となる29万人の雇用が新たに創出されたというが、一方で求職者の数が増えたので、失業率は改善しなかった。

 求職者の数が増える?この求職者たちはこれまでどこにいたのだろう。移民や統計にカウントされる生産年齢人口が新たに出てきたというのでなく、これまで求職者にカウントされていなかった層が、求職の意思を改めて示し、労働市場の統計にカウントされるようになったということのようだ。

 株価はこの労働統計発表と欧州のソブリン危機のニュースが交錯し、17ポイント下落の1111ポイントだった。当たり前のことだが、米国のエコノミストは、ユーロのソブリン危機がギリシャがその他の数カ国にとどまるかどうかを注視している。封じ込めが成功すれば、米国への影響は軽微だろう。

 WSJ紙によると、米国の雇用は今回の金融危機で800万人の雇用が失われたという。危機前の水準に戻るには、いまの雇用成長ペースでは27ヶ月かかる。同紙のグラフィックデータをみると、白人男性の失業者数が思いのほか多い感じがする。しかし、時系列で追っていくと、白人男性の失業者数は徐々に改善し、黒人男性の失業者数との水準差が縮小している。

 米国にとってのもうひとつのリスクは、投資家がユーロを逃れ、ドルへ逃避することだという(NYT紙)。ドル高となり、米国企業の輸出に大きな影響を与える。

 一方、FT紙によると、ユーロ圏の47銀行がECBに対し、ギリシャなどの国債購入を「desperate appeal」したという。しかし、6日のリスボン会見で、トリシェは「国債購入に関する議論は出なかった」と言ったそうだ。中央銀行のバランスシート毀損の懸念があるためだが、日銀やFRB、BOEも国債を購入している。まだ、非常時、という危機意識が薄いのだろうか。日銀の7日の即日オペ2兆円は早かったが、当事者であるユーロの反応が鈍く、対応が後手に回っている感が否めない。

 ECBが域内の1000以上の銀行に対し、1%で1年間の緊急ローン6000億ユーロを出す準備を進めているとの噂もあるようだ。

 英国総選挙の結果は、ポンドにとって最悪で、ユーロ危機は「リーマンマーク2」になりかねないとの声も出ている。