英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

債務の海に沈むギリシャ

 今日も天気が良い。昨日のテニスの筋肉痛が残る。年をとると、筋肉痛や傷の回復が鈍い。

 今日は、FTのEl-Erianの比喩が心に残った。「drowning a sea of debt」。ギリシャポルトガルやその他の諸国)は債務の海に沈みつつある。IMFやEUが彼らを引き上げることができるのか。それとも、もろともに沈んでしまうのか。1100億ユーロの支援パッケージは、少なくとも投資家らにはsufficientでもcredibleでもないと評価され、先週のマーケットは大荒れとなった。

 8日付けのブログ、Calculated Riskが昨日コメントした米国失業率のことを解説している。

 http://www.calculatedriskblog.com/2010/05/duration-of-unemployment.html

 失業の期間別分析の中で、27週間以上失業している人の数、割合が今回の景気後退局面では大幅に増えていることを指摘している。
 これまでの景気後退期には、米国内を自由に移動し、職を求めることができていたが、今回は自宅というアンカーに縛り付けられて、”geographic mobility”がないという。転職するためのスキル形成も容易ではない。

 California大学のEichengreen教授は「ギリシャは手遅れだが、EUはまだ間に合う。頭を切り替えよ(mindset)」と述べている。

 http://voxeu.org/index.php?q=node/5019 

 GDPの150パーセントに達するギリシャの債務が、100パーセント返ってくると考えるほうが間違いで、10%強返ればいい方だという。遅かれ早かれ、ギリシャの債権者は価値半分の新債権に切り替えざるを得ず、一方ギリシャの路上でデモをしている市民も、緊縮策への理解が少し進むのではないかという。
 スペインとポルトガルが、ギリシャの二の舞にならないということを示すためには、すばやく労働市場を改革する必要がある。債務がmanageableであることを示すには、経済成長する必要がある。そのためには、輸出を伸ばす必要があるが、そのために労働市場の改革が必要だというのだ。

 そして、ECBはsecondary marketから国債購入をせざるを得ない。成長率が鈍化しているので、国債購入によるインフレ懸念もないという。
 最後に、これらをサポートするため、ドイツは内需(消費)をもっと拡大させる必要があるという。

 「皆よ、目を覚ませ」。Eichengreen教授のブログを初めて読んだが、その英語は平易で論理的。分かりやすい印象。