英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

アップルへの圧力

 曇り。
 全米オープン大坂なおみが優勝した。素晴らしい。
 https://www.wsj.com/articles/naomi-osaka-defeats-serena-williams-for-u-s-open-title-1536443162?mod=hp_lead_pos8
 トランプ氏。今度はアップルに対し、製造拠点を米国に移すよう圧力をかけている。
 アップルは製品の大半を中国で生産、組み立てしている。写真は北京郊外の工場の一コマである。
 トランプ氏はアップルに対し、中国から米国へ、生産拠点を移すよう求めた。トランプ氏は長いこと、米国の製造業を復活させるという経済的な目標を満たせないのは、アップルがそうしていないからだ、と批判していた。
 土曜日朝のツイートで、トランプ氏は、アップルが関税をかけられるのを避けようとするのであれば、中国でなく、米国で生産すべきだ、と書いた。今すぐ、新しい工場を米国で建設し始めよ、エキサイティング、と書いた。
 このツイートは、アップルが米通商代表部に宛てた書類の中で、提案されている2000億㌦の関税が中国製品にかかれば、時計やヘッドフォンなどの中国製品価格に影響することになるだろう、と述べていることに由来する。アップル担当者はトランプ氏のツイートに対し、コメントを避けた。
 アップルは製品の大半を中国で生産している。カリフォルニア、クパチーノにある本社では、8万人の従業員が働いている。
 https://www.wsj.com/articles/trump-presses-apple-to-shift-production-to-u-s-1536432033?mod=hp_lead_pos1

リーマンショックの検死報告書

 リーマンショックから10年が経過し、その回顧が盛んである。FTのテット記者の記事。洞察にあふれた記事である。
 予測は困難だ。特に将来についてはそうだ。検死報告書が積み上がるに伴い、もう一つ発してみたくなる誘惑にかられる問いがある。10年前に想定されていたのと比べ、今日の金融の道行きはどうであったのか。私の答えは少し驚くべきもの、というものだ。
 金融がどのように進化したのかをみれば、少なくとも5つの特徴が浮かび上がる。まず、負債についてみてみる。10年前、投資家や金融機関は、過剰なレバレッジは危険であることを改めて学んだ。それゆえ、債務は減る傾向にあると考えるのが自然であろう。しかし、その後の推移はそうではなかった。米国の不動産市場ではデレバレッジがすすんだ。しかし、世界全体でみると、債務は膨らんでいる。昨年の債務総額はGDPの217%にあたる。
 2つめのサプライズは、銀行の規模の大きさだ。リーマンショックの破綻の効果により、大きすぎてつぶせない危険性がはっきりした。それゆえ、銀行の分割を主張する意見が出た。しかし、大手金融機関は依然として大きい。
 米国の上位5位までの銀行は、銀行資産の47%を保有している。この数字は2007年には44%だった。規制当局が大きすぎてつぶせない問題のジレンマを解決したのかどうか、定かではない。
 3番目の問題は、米国の金融の相対的な力の強さだ。2008年当時、危機は米国製の物語だと思われていた。メルトダウンの根っこには米国のサブプライム融資があり、ウォールストリートの金融技術があった。
 しかし、その後、米国の投資銀行は欧州のライバルをほとんどあらゆる意味で凌駕している。ディールのシェアやROE、株価のパフォーマンスに至るまで。
 4つめはノンバンクの実情だ。10年前、シャドーバンク問題が発見された。しかし、この問題が発見された後も、依然としてシャドーバンクは生き延びている。
 https://www.ft.com/content/73e3ae2a-b1ca-11e8-8d14-6f049d06439c

匿名投稿は臆病者か

 曇り。
 NYTの匿名投稿について。ホワイトハウスの高官らは自分ではない、と否定した。ホワイトハウス関係者は、内部のサボタージュとみられる人物を根絶するようなことはしない、と述べた。
 トランプ大統領は、幹部らの否定するさまを注意深くウォッチしているのだという。この中にはペンス副大統領も含まれる。
 ホワイトハウス内部の班員探しは、ジョン・ケリー首席補佐官を中心に非公式に行われている。しかし、ウェストウイングでは公式な捜査は行われていない。ニューヨークタイムズのコラムに対して、公的な反論するには初歩的な計画しか残されていない、とホワイトハウス幹部は述べた。この筆者は「臆病者だ」と、ホワイトハウスの報道官を通じて声明文を出した。
 ホワイトハウスを揺るがすもう一つの問題は、ボブ・ウッドワード氏の新著だ。ゲイリー・コーン氏とロブ・ポーター氏が、トランプ氏の貿易問題についての姿勢を正そうと努力するさまを描いた場面である。水曜日になり、匿名コラムは同じテーマを扱った。
 https://www.wsj.com/articles/senior-trump-officials-deny-writing-anonymous-critical-piece-1536237773?mod=hp_lead_pos1

ブラード氏の利上げ反対論

 ブラード総裁。9月の利上げはすでに既定路線だとして容認したが、さらなる利上げには否定的な見解を示している。現状ではすでに相当良い状態にあり、政策を今のまま維持するほうが良い、という考えを示した。フォックスビジネスネットワークのインタビュー原稿による。
 今月、FOMCが開催される予定だ。1・75から2%への利上げが予定されている。
 https://www.wsj.com/articles/bullard-says-fed-shouldnt-raise-rates-right-now-1536072749

トランプ更迭論

 晴れ。北海道で地震。本当にいろんなことが次から次へと起こる。
 トランプ政権内でトランプ氏を更迭するような動きがあるという。憲法上、そういう手段があるようだ。トランプ政権の幹部らが、憲法上の手段を使ってトランプ氏を任期を終えるより前にホワイトハウスから排除する手段を議論している。理由は彼の不安定性である。
 ニューヨークタイムズへの匿名の寄稿があった。非常にまれなことである。
 https://www.ft.com/content/682f8862-b15a-11e8-99ca-68cf89602132
 NYTへの寄稿は以下の通り。オピニオン欄に匿名の寄稿が寄せられ、公表した。NYT編集部は匿名の寄稿者がだれかをつかんでいるようだ。そして、この公表によって仕事がマヒするかもしれない可能性も認識している。
 トランプ大統領は大統領職にとどまれるのか、かつての大統領が経験したことのない試練のさなかにある。トランプ氏によって米国は大きく分断された。議会では共和党が敗北するかもしれない。トランプ政権の中で働くものはだれしも、彼の持ち出す議論や彼の性格にフラストレーションを感じている。
 そして、われわれの抵抗は左派のそれではない。
 だから、彼がホワイトハウスを去るまでに、これ以上トランプ氏が誤った衝動で動かないよう、トランプ氏を制約するような動きをしたい。
 問題の根源には大統領のモラルのなさがある。彼と仕事をしたものはだれしも知っているのは、彼の意思決定を導く認識しうる原則を持ち合わせていない、ということだ。彼は共和党の大統領として選挙で選ばれたにも関わらず、保守派が長らく抱いていた理想にほとんど共感を抱いていない。自由思想や自由な市場、自由な人民、といった概念だ。最悪なことに、彼はこうした概念を徹底的に攻撃している。報道は人民の敵だ、という概念に加え、彼は反貿易主義であり、反民主主義であるのだ。
 ホワイトハウスから主要な省庁に至る高官は、個人的には、毎日トランプ氏の言動に対する不信を感じている。
 その結果は、二重トラックの大統領としての指導である。外交政策をとってみると、トランプ氏自身はプーチン氏や金正恩のような独裁者を好む。しかし、考え方の似ている同盟国には何ら親しい理解を示そうとしない。ロシアに関して言うと、トランプ氏はプーチン氏のスパイとされた多くの人間を処罰したり、追放することに消極的である。
 https://www.nytimes.com/2018/09/05/opinion/trump-white-house-anonymous-resistance.html

金融危機で何が変わったか

 空は次第に晴れ間が広がってきた。
 FTのマーチン・ウルフ。金融危機以降、なぜ変化がそれほど少ないのか。
 冒頭、ケインズが1942年に書いた一文を引用する。大恐慌前後で人々の感覚が違ってしまったことを指摘している。大恐慌と第二次大戦を経て、人々は変化を求めるようになった。
 1970年代のスタグフレーション反革命でもあった。1980年代になると、政府や市場の役割に対する考え方が根本的に変わった。マクロ経済政策の目標や中央銀行の役割が変化した。
 では、金融危機後何が起きたのだろうか。政治家や政策担当者は過去に戻ろうとしているのか、それとも異なる未来を目指しているのだろうか。答えは明確で前者である。
 公平に言って、より良い過去に戻ろうとしている。それは1918年に起きたことと同じである。悲惨な戦争の結果、集団安全保障という考えと国連が生まれた。しかし、経済については金本位制に戻ろうとした。2008年以降も、世界は過去よりも良い金融規制を導入した。基本的な考え方は「救済」だ。財政や中央銀行金利を使い、経済を救済する。
 https://www.ft.com/content/c85b9792-aad1-11e8-94bd-cba20d67390c