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「次はどこか」、広がる米中堅地銀の動揺

 晴れ。

 ファーストリパブリック銀行を救済しても、米銀株の下落を食い止めることができなかった。米銀株は軟調に推移している。

 パックウェスト銀行やウェスターンアライアンス銀行の株価は特に下げがきつい。

 今週行われたファーストリパブリック銀行の救済。米国の地銀株の売りを食い止めることができなかった。火曜日には投資家がJPモルガンによるファーストリパブリック銀行買収のニュースを消化したうえで、株価は低迷した。

 中規模地銀の中でもっとも弱い銀行の1つとされるパックウェスト銀行は、変動が激しく、一時取引停止となった。終値は27%も下落した。シリコンバレー銀行が経営破綻した3月10日以降としては、パックウェスト銀行の株価はもっとも下落幅が大きかった。ウェスターンアライアンス銀行の株価も15%下落した。

 両方の銀行とも、SVBやファーストリパブリック銀行との類似性を精査されている。SVBやファーストリパブリック銀行はFDICによって救済された。両銀行とも大規模な預金流出に苦しみ、保有する長期資産の評価減に悩まされた。

 JPモルガンがファーストリパブリック銀行の預金と大半の資産を買い取ったが、株主は追い出された。市場は弱い銀行や脆弱な銀行を狙い撃ちしている、との指摘も出ている。

 あるアナリストは、JPモルガンのダイモン氏の但し書きに着目している。ダイモン氏は次の小規模銀行の救済があるかもしれない、という警告である。人々はこういうコメントに注目している。「市場の臆病さは理解しうる」とあるアナリストは述べている。

 その一方、長期投資家はこの数週間、銀行株を買い上げているという。このことはパニックでもなく、汚染がさらに広がる可能性はないということも示している。つまり火曜日の動きは投機的な動きである、ということだ。

 大手銀行の株価も急激ではないものの、同様に下落し続けている。ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーの株価は1~2%下落した。

 銀行株の動きは循環的である、BLSが火曜日に公表したレポートによると、新規就業件数は2021年3月以来の落ち込みだった。2番目あるいは3番目のファーストリパブリック銀行が生じると、金融の条件の制約になるとの予測もある。

 地銀は特に商業用不動産の融資が大きい。商業用不動産は最近関心の対象であるが、それは金利の上昇と自宅で仕事をする習慣が定着し、オフィス需要が低迷するからだ。

 中堅地銀の株価はこれからさらに下落する可能性がある。特に次の標的はパックウェスト銀行である。

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