英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

心変わりのバイデン

 曇り。

 バイデン氏は、より大規模かつ包括的な歳出パッケージを伴わなければ、超党派で合意した1兆円のインフラ支出計画への署名を拒否する姿勢を明らかにした。超党派合意からわずか2日後の方針転換である。

 突然のバイデン氏の転換は、共和党議員らが大統領の姿勢を批判した後の出来事であった。

 バイデン大統領は土曜日に公表した声明文の中で、バイデン氏が提案する家族計画やほかの優先度の高い計画なしに、インフラ投資法案がなされるなら、その署名にサインすることを拒否するだろうと述べた。大統領の権限である拒否権を共和党議員への脅しに使っている。

 民主党の急進派からすると、いったん超党派の合意がなると、彼らの求める政策の優先順位が政治的に低下することを恐れていた。

 一方、共和党からすると、インフラ計画は支持するが、バイデン氏の掲げるより大規模な歳出計画や増税には賛成できない。

 https://www.ft.com/content/9546c6ab-1d1f-4725-ba3a-2acec721c09c

 NYTはバイデン氏の発言のブレを指摘している。

 期間が数世代に及ぶ、野心的な経済テーマを法案として通過させようという、細いロープの上を綱渡りするようなバイデン氏の計画が危機にさらされている。バイデン氏は政治家として、ならず者のようなコメントを繰り返してきた。

 バイデン氏は木曜日、超党派の議員らとともに、インフラ計画での合意を誇らしげに公表した。今後8年間で1.2兆ドルを支出する。これは、超党派の交渉を成功させた人物として彼の政治的遺産になるはずだった。

 バイデン氏とその側近らは、リベラル派には「依然として数兆ドルを気候変動や教育、子供のケアなどに使う手段を模索している」と伝えつつ、中道派の上院議員らとは橋や道路の再建で合意していた。バイデン氏自身、こうした使い分けにより、議員らと交渉できる能力があると思っていたようだ。

 しかし、それから1時間後の記者会見におけるバイデン大統領の混迷した発言をみると、妥協は認めないという本心を思わず口に出してしまった。この発言は、バイデン氏が自慢する超党派合意をひっくり返すのに十分だった。

 https://www.nytimes.com/2021/06/26/us/politics/biden-infrastructure.html