英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

トルコ発危機の可能性

 トルコの中央銀行が解任されたことが、マーケットに衝撃を与えている。トルコ発の危機再来となるのか。

 トルコのエルドガン大統領が中央銀行の総裁を解任した。このことが、トルコの政策に対する信頼感がないことを改めて確認された。

 新興国の投資家はたびたびトルコで不快な驚きに直面する。しかし、今回の最新の出来事はそうした投資家を面食らわせることになった。

 トルコの中央銀行のAgbal総裁が政策金利を2%引き下げた後、36時間後には追放されたのだ。その結果、トルコの通貨や株式、債券市場はフリーフォール状態となった。

 しかし、投資家がトルコから資金を引き上げたり、ヘッジをかけたりすることは難しいのだという。もしそうすれば、投資家の信認にダメージを与えかねないのだ。

 たとえば、欧州最大の新興国投資家であるアムンディの担当者は、トルコが信任を取り返すことまで待つと述べる。この担当者はトルコの債券投資を積極的に行っていた。リラはロングポジションである。しかし、中央銀行総裁が解任された後も、その投資の方向を変えることはできなかった。

 流動性が枯渇し、エクスポージャーを落とそうにもできなかったのだ。外国人投資家は非常にフラストレーションをためたのではないか、という。

 Agbal総裁の就任は、投資家にとって、トルコが変わるというメッセージとなっていた。しかし、今回の解任により、ルールというものがトルコに存在しないことを見せつけた。

 トルコのエルドガン大統領は海外の運用者と安定しない関係を続けてきた。大統領は高金利を嫌い、主流派のエコノミストが提言する政策を退けていた。2018年のリラ危機の際、西側諸国が金利を陰で操作しているというレッテルを張った。

 Agbal総裁は就任してまず、金利を引き上げた。解任されるまで、8.75%に上昇した。その結果、リラは4カ月で18パーセントも上昇した。

 中央銀行のデータによると、その結果、160億ドルもの資金が好利回りを求めてトルコに流入した。

 https://www.ft.com/content/fb5f31e8-9189-494f-af39-466606fd00c1