英字紙ウォッチング

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東地中海のガス争奪戦

 曇り。

 エコノミストより。東地中海で天然ガスの領有をめぐり、ギリシャとトルコの間の緊張が高まっている。8月12日、地中海で、ギリシャEEZ下の天然ガスをめぐり、ギリシャとトルコの艦艇がすくみあう構図が生じた。

 両国政府とも、この遭遇を秘密にくるもうとした。しかし、ギリシャ海軍の高官がこの衝突の詳細を地方紙にリークした。われわれは古く、数の少ない艦船しかもっていないが、われわれはギリシャの海の利益を守ったのだ、と。そして、ギリシャの国防大臣はこの艦船の艦長をほめたたえた。

 一方、トルコのエルドガン大統領は、こうした状況が続けば、われわれは報復すると述べた。さらに、フランスのマクロン大統領は、国際法がこの地域で尊重されるよう、2機のジェット機と艦船2艦をこの地域に派遣すると述べた。

 ギリシャとトルコの衝突は新しいことではない。この2つの国はエーゲ海の小島をめぐり、1996年にも戦争の淵までいった。ギリシャは、トルコの戦闘機がギリシャ領空を侵犯していると、2017年に抗議している。両国はキプロスの地位をめぐっても争っている。

 だが、今起きている論争は、より広く、東地中海のエネルギーや安全保障、イデオロギーをめぐる緊張の増大の一側面だともいえるのだ。

 そうした中、最新の紛争はエネルギーをめぐる争いである。10年前、中東の中でもっともエネルギー不足に悩んでいたイスラエルが、大規模な炭化水素資源を発見したと発表した。リバイアサンと名付けられた地域に、4500億立方メートルものガス資源が眠っているのだという。

 その後、エネルギーブームは続いた。イタリアのエネルギー企業ENIが今度は大規模なガス資源を発見した。エジプト沖である。キプロス周辺でもガス資源が発見された。エジプトやイスラエルキプロスは、2.3兆立方メートルもの資源を手に入れたことになる。潜在的な資源規模はそれ以上になるともみられている。

 https://www.economist.com/international/2020/08/22/a-row-between-turkey-and-greece-over-gas-is-raising-tension-in-the-eastern-mediterranean