CLO発の危機について。
CLOは過去10年間以上にわたり、ブームとなってきた。しかし、その複雑な商品設計が、ローンのデフォルトがスパイクすると、脆弱なものになりかねない。
コロナウイルスの感染拡大が広がる中、米国でコロナ感染を恐れたほかの病気の患者が回避されている。コロナウイルスによって生じた企業の犠牲のうち、もっとも驚くべき事例の一つが、病院にスタッフを派遣する企業の危機だ。
全米で最大の医療人材派遣企業の一つであるエンビジョンは今月、およそ70億ドルの債務のリストラを完了した。というのも、全米のプライベートエクイティでもっとも大規模で歴史のあるKKRが、約100億ドルでこの会社を買収してから18カ月も経っていない時期の出来事だ。
エンビジョンの取引は、コロナウイルスが引き起こす景気後退圧力の中で、金融システムにストレスがかかるポイントの一つだった。KKRは、その買収資金を調達するために、投資先企業のバランスシートにジャンクローンやジャンク債の重石を乗せてきた。これはプライベートエクイティの戦術として一般的な手法ではある。
こうした証券はウォールストリート業界に、CLOという燃料を投下し続けてきた。
これは10年前の金融危機の際は、サブプライム証券という形で有名になったが、そのいとこのような存在だ。外部からみれば、リスクある証券がトリプルAの証券に生まれ変わる、金融錬金術のようだ。
米国のレバレッジローン市場は、5540億ドル市場からおよそ1.2兆ドル市場へ、倍増した。これは2008年以降に起きた金融市場の再編を反映した結果である。PEの存在感が急速に増し、イールドを求める投資家が彼らの活動を後押しした。PE企業はレバレッジをきかせた買収を通じてCLOのためのローンを供給し続けた。貸し出しの条件も緩和された。
コロナ危機が表面化した3月、Fedの積極的な介入により、CLO証券は幾分か回復した。しかし、企業の格下げやデフォルトの増加に対する懸念は残っている。
CLOを支持する人は、この証券には複雑な組み合わせやレバレッジ、信用力の低さを吸収する仕組みが組み込まれていると主張する。
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