英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

コロナ、トランプ大統領の甘い見通し

 快晴。

 コロナウイルスにより、今後1~2年後のアメリカはどうなりそうか。専門家による長期見通し。NYTより。

 コロナウイルスアメリカの大都市から郊外へ、そして地方都市に広がりつつある。ウイルスは数百万人に感染し、3万4000人以上の死者が出ている。

 しかし、トランプ大統領は今週、経済を再開させるガイドラインを公表し、米国の大部分は間もなく通常に近い状態に復帰すると述べた。今までの数週間、政権の危機に対する見通しと現状認識は専門家のそれらと比べてバラ色に近いものだ。

 実際のところ、この危機が我々に何をもたらすのか誰にもわかっていない。20人以上の公衆衛生や医薬品などの専門家は、将来にわたる見通しについて考察をシェアしている。何人かは、アメリカ人の創意工夫によって、こうした重荷を軽減できると信じている。

 しあkし、来年については暗い見通しは避けられそうにない。トランプ大統領が毎日行っている記者会見で示すシナリオは、ファンタジーと言えるだろう。すなわち、ロックダウンがすぐにも終了し、治療薬の開発が間もなく完了し、レストランやフットボールスタジアムが満員になる、といったたぐいのことだ。

 医療の専門家によると、相当数の人口が数カ月間にわたり、自宅に閉じ込められた生活を強いられるという。バンダ―ビルト大の医療スクールの専門家は、ウイルスは夏にも収まり、ワクチンがやがて騎兵隊のように到着する、というのが楽観的シナリオという。

 経済についても、危機が終了すれば、国や経済は素早く立ち直る、というシナリオもある。

 現在、コロナウイルスによって毎日1800人のアメリカ人が死亡している。これは4月7日以降の動きだ。一方、心臓病によって死亡する人は毎日1774人、がんは1641人だ。コロナウイルスは確かに高止まりしている。おそらくこれ以上増えることはないだろう。

 そして、ワシントン大学による推計だと、夏までに10万人から24万人に死者はなるという。現在、死者数合計は6万人だ。これは勇気づけられるようなニュースだが、大事な点が隠されている。

 この推計は8月4日までの推計で、しかもコロナの第1波のみを考慮している。ワクチンがなければ、ウイルスは数年にわたって流行するとみられる。時間とともに、死者は増える計算になる。

 死者数の増加を抑えられているのは、国を閉鎖していることによってのみだ。したがって、この状態を永遠に続けることはできない。ホワイトハウスが想定している経済再開のプランは、このことによってふたたび死者が増える可能性を示唆している。

 結局、どれくらいの米国人が死亡するかの推計は、推計によって異なるが、すべての見通しが暗いものだ。ウイルスは次第に全米の48~65%の人に流行し、死亡率は1%をわずかに下回る程度にとどまる。その結果、170万人の人々がコロナウイルスによって死亡する計算となる。ロンドン大の推計だと、この数は220万人の死者となる。

 ちなみに第2次世界大戦で死亡したアメリカ人は42万人である。

 中国におけるより限定されたデータによると、より気分が滅入るような推計となる。中国の公表データによると、致死率は5%。致死率はどれだけの病床が用意でき、どれだけが検査できるか次第だ。

 https://www.nytimes.com/2020/04/18/health/coronavirus-america-future.html?action=click&module=Spotlight&pgtype=Homepage