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南アフリカの格下げリスク

 晴れ。

 南アフリカの債券は、ムーディーズの格下げにより、ジャンク債レベルに落ち込もうとしている。ムーディーズの評価としては、経済を再建する計画がうまくいっていないというものだ。

 ムーディーズ南アフリカの格付けの見通しを、安定的からネガティブに変更した。アフリカでもっとも工業化した国は、ジャンク債に落ち込むリスクにさらされている。

 現在、南アフリカは投資適格級の格付けであるBaa3をつけられている。しかし、見通しの変更により、ラマフォサ大統領による経済改革の失敗に改めて焦点が当たる格好となった。経済発展の信頼できる戦略を打ち出し、債務水準の上昇に歯止めをかけることが望まれるが、今のところ期待できない、としている。

 ラマフォサ大統領は昨年、ズマ前大統領に代わり、新しい夜明けをスローガンにして就任した。しかし、国営の電力会社Eskom改革などで、ANC内から強い圧力を受けていた。

 Eskomは、南アフリカのほとんどすべての電力を供給する寡占企業であるが、無駄と汚職がはびこり、政府保証のついている社債が政府の支援なしには支払い不能になっていた。南アフリカ財務大臣は、改革をしなければ、現在GDP比で60%以内に収まっている公的債務の比率が、今後3年のうちに70%を超える、と警告していた。

 同時に、南アフリカ経済は、アパルトヘイト廃止後も、不平等度が世界でもっとも高く、失業率も非常に高い。

 来年2月に作成される予算は、南アフリカの財政状況を転換させるかどうかの、重大な瞬間となりそうだ。

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