英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

オバマインタビュー

 独シュピーゲル誌と公共放送ARDによるオバマ大統領に対する独占インタビュー。民主主義の未来に対する懸念を述べた。内容も極めて興味深い。
 インタビューを取り付けるのには非常な困難を極めた。とくにオバマ大統領が外国メディアに対して話すのは非常にまれなためだ。そこで、ARDとシュピーゲルは共同プロジェクトを立ち上げ、米国大統領がベルリンへの最後の訪問を機に、インタビューを企画した。
 最初の質問はやはりトランプ氏の誕生。米国社会の間に不一致と仲違いを生んだ。これほどの怒りが生じたことに驚いたのか。
 オバマ大統領は、起きたことについて過剰な物言いをしないことが重要だと思うと述べた。経済は相対的にうまくいっているが、都市部と地方部での差が生じているという。とくに地方では製造業に経済が依存しており、成長の度合いが弱い。人々は子供たちが自分たち以上にうまくやっていけないのではないと感じている。
 こういう文化的、社会的、人口上の問題は、欧州が移民問題で直面している問題とそれほど違いがない。
 オバマ大統領は、前回私に投票した人で、今回トランプ氏に投票した人が何百万人もいるだろうとノベル。それは、イデオロギー的なものではなく、単に一種の変化を求める衝動のようなものだ、と分析している。トランプ氏は今後数年、自身の発言について試されることになるだろうと予言している。
 次の質問は、米国は50対50に分断された国家ではないか、オバマ大統領は就任時に、米国民の和解を呼びかけたにもかかわらず、だ。オバマ大統領は、若者が年配の人々よりも投票にいかない傾向が問題だと指摘している。これは日本と同じ問題点だ。その結果、選挙結果が米国民の意思をフルに反映したものにならない。
 本質的にいうと、トランプ氏は米国の人口の27%の支持しか得られていない。我々のチャレンジは、歴史的にいって、非常に低い投票率の問題だ。これは大統領選の最中においてもそうだ。
 しかしその一方で、グローバリゼーションについての関心は否定できない。そして、次のくだりが興味深い。
 My view is that over the long term, over the next 10, 15, 20 years, if we are able to address the legitimate economic concerns of those who feel left behind by globalization, then many of these tensions will be reduced. And we will see a world that is less divided. But if the global economy is unresponsive to people who feel left behind, if inequality continues to grow, then we could end up seeing more and more of these divisions arise throughout advanced economies around the world.
 また、オバマ大統領は、自分のレガシーは何かと問われ、もっとも重要なレガシーは世界が大不況に陥らないようにしたことだ、と述べている。そして、73カ月連続で雇用の成長を続けている。これは米国の歴史上、もっとも長い雇用の成長だ。失業率の低さも強調する。
 オバマ大統領は、たびたび共和党議会の反対にあっている。反対の理由は、提案者がオバマだから、ということもあったらしい。しかし、今度は共和党が統治の責任を負う。
 オバマケアについては、これが導入される以前は2000万人の人々が無保険状態だった。トランプ氏はこのシステムを改善できると述べている。もしそうなら、私はそういう努力を支持したい。
 このくだりも興味深い。在任中、もっともたいへんだった瞬間を問われたときのことだ。
 Look, early on, I think people didn't fully appreciate how severe the economic crisis was, partly because we took smart steps, and we were able to avert complete disaster. But there were weeks where I wasn't sure whether we were going to be able to pull out of the crisis. For me, personally, the most difficult moments had to do with not just terrorist attacks, but also shootings.
 これもやはり経済危機の印象を語っている。
 http://www.spiegel.de/international/world/spiegel-interview-with-us-president-barack-obama-a-1122008.html#ref=rss