英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

要石トルコ

 晴れ。梅雨明けのような天気である。
 世の中全体がきな臭くなってきた。米国では今度は29歳の元海軍軍人が3人の警察官をバトンルージュで殺害した。10日間で2回目の襲撃事件である。反政府運動に関わっていたという。
 http://www.wsj.com/articles/more-than-one-police-officer-shot-in-baton-rouge-1468768712
 米国では共和党大会がスタートしたが、例年と異なったスタートとなっている。過去2代の大統領は出席しない。
 http://www.wsj.com/articles/republican-convention-to-kick-off-with-many-party-stalwarts-absent-1468782407
 トルコのテロが米国の外交政策に与える影響について。トルコ政府は米国に対し、聖職者の引渡しを求めている。トルコが不安定になると、西側諸国が進めているイスラム国との戦いの努力を難しくする危険性がある。
 引渡しを要求されているのはギュレン氏。今回のクーデタを首謀したとみられている。米国としては法的手続きと証拠があれば、引き渡すとしている。
 より広範な問題としては、イスラム国との戦いにおける鍵となる米国の同盟国であり、NATOのメンバーでもあるトルコの民主主義が融解していることが、オバマ大統領の対応を難しくしている。
 トルコの戦略的な位置づけと西側諸国との絆は、イスラム国との戦略、シリア紛争や欧州難民問題など、すべての要石になっている。
 ただ、ギュレン氏の引渡しについて、ケリー国務長官は米国の政策と手続きに基づいて考慮する、と述べている。
 米国はトルコとの間で引渡し条約を結んでいるが、そのプロセスは数ヶ月かそれ以上かかる。米国として拷問や誤った取り扱いの可能性など、人道的な観点からの検討も踏まえ、引渡しを検討することになる。
 米国にとってもう一つの死活的に重要な利益は、トルコ南東部にある空軍基地だ。この基地は、中東における米国の存在や戦略にとって中心となる軍事的資産である。それが今回のクーデタ事件によって、米国トルコの関係が不安定になっている。
 米国の大統領選ではポピュリスト的、かつ反グローバリゼーション的な空気が漂い、米国の世界における役割について、潜在的に変化する可能性が出ている。
 米国にとってもう一つの関心は、エルドガン氏が今後どの程度、非民主的な戦術を反対勢力に対してとるかである。それほど昔のことではないが、米国はかつて、トルコのことを民主主義とイスラムが共存するモデルとみなしていた。ソビエト崩壊後、民主主義のモメンタムが生じたが、それは逆転するまではいかないが、過去数年間で完全にストップした。
 http://www.wsj.com/articles/failed-turkey-coup-puts-new-strains-on-u-s-policy-1468811403