英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

フィリピンのディアスポラ

 晴れ。
 フィリピンでは多くの人が外国に出て働き、本国に送金してきた。しかし、このトレンドが最近転換しつつある。
 長年、フィリピン人で職業的な野心を抱く人は、それを実現するのにもっとも確かな方法はフィリピンから外へ出ることだと知っていた。1970年以降、何百万人ものフィリピン人が国を後にした。多くが家政婦や運転手、建設労働者として働き、中にはフィリピン国内ではよい給料を得られる見通しのない医者や学者、テクノロジー系の技術者もいた。
 しかし、この傾向はとうとう転換しつつある。いったん本国の停滞に見切りをつけて海外に出た有能なフィリピン人が大挙して本国に帰国しつつあるのだ。それは政治的な安定と年率6・2パーセントに及ぶ経済成長が、フィリピン人の「ディアスポラ」を変えつつあるのだ。
 2011年には1040万人のフィリピン人が国を後にした。2005年と比べて5割増しだ。しかし、この数が徐々に減少しつつある。それは中東の労働力需要が弱まっていることも一因である。
 アキノ大統領は最近、海外で働くフィリピン人は940万人に減少すると述べた。しかし、どれくらいのホワイトカラーの海外労働者が帰国するか、データはない。
 この記事に挙げられた5人の事例も興味深い。
 http://www.wsj.com/articles/for-filipinos-abroad-home-is-calling-1462217402
 プエルトリコ債務危機が起きている。政府系銀行が4億ドルの元金償還が出来ず、議会では債務リストラの法律が議論されている。今年夏には追加のデフォルトが起きる可能性が指摘されている。
 http://www.wsj.com/articles/puerto-ricos-debt-crisis-turns-up-the-heat-on-congress-1462219483