英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ウィガン

 ジョージ・オーウェルの「ウィガン」(邦訳題名)が、英国でここ数週間、盛んに議論されている財政政策に関する論議のバックボーンをなしている。小説「ウィガン」では、1930年代の北部イングランドにおけるすさまじい貧困が描かれている。
 12月3日、オズボーン財務大臣は英国の財政赤字を2020年までに230億位ポンドの黒字に持っていくと述べた。ただ、それを実現するのに増税に頼りたくないので、歳出をカットするという。GDP比で6パーセント相当の歳出がカットされる。
 日本に当てはめると、30兆円もの歳出カットに相当する。
 しかし、このオズボーン財務相の計画は激しい批判を巻き起こしている。1930年代に英国を戻すのか、と。確かに、オズボーン財務相どおりの計画が実現すれば、過去80年間でもっとも低い歳出のレベルになる。
 ただ、経済統計を歴史的にきちんとさかのぼってみてみると、違った側面が見える。1939年の政府支出は国民所得の3割しかなかった。しかも、その大半、14パーセントは第一次世界大戦をまかなった債務の返済に充てられた。つまり残り16パーセントしか教育や医療、社会保障に使われていなかった。それに比べると、オズボーン財務相の言う30パーセントという数字は良いほうだ。
 http://www.economist.com/blogs/freeexchange/2014/12/public-spending-britain