英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

悪魔は細部に宿りたり

 しばらく更新を怠っていた。梅雨らしい、湿った日々が続く。
 
 今週はなんと言ってもギリシャをめぐる動きが頂点を迎えた。ギリシャ危機が世界経済に与えるインパクトは?
 ドイツとフランスの間で、ギリシャ救済をめぐる合意がなされた。
 ドイツは民間債権者を救済スキームに参加させることやギリシャの自発的な借り換えを求める主張を引っ込めた。これで、欧州首脳が合意に至るとの希望が市場の間に出てきた。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/df98d0aa-98dc-11e0-bd66-00144feab49a.html#axzz1Paa9t2R3
 ギリシャの内閣は、パパンドレウ首相の政敵でもある社会党の首脳が財務大臣として入閣した。
 メルケル首相は「中欧向け貸出の維持で合意した2009年のウィーンイニシアティブが、今回の取引の基礎にある」と述べた。ギリシャの債務問題において、債務の借り換えが最大の障害だった。EU高官は「ドイツが動いたが、悪魔は細部にいる」と述べたという。
 しかし、ギリシャ債務の借り換えは、ある条件のもとでは完全に自発的なものにならず、格付け機関によって選択的デフォルトとみなされる可能性がある。

 マーケットウォッチサイドからの記事。株式市場における悲観論は2009年以降で最高潮に達した。メリルリンチの調査によると、投資家の現金志向も2010年半ば以降で最高水準となっている。投資家のリスク回避姿勢が強まっている。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/cbdeae1c-9905-11e0-acd2-00144feab49a.html#axzz1Paa9t2R3
 投資家のギリシャ問題に対する懸念度合いを測るもっとも良い指標が米国株のプットコール比率だ。水曜日に1.1に跳ね上がった。

 WSJ記事より。市場ではギリシャ債務のデフォルト懸念が強まり、アテネでは何万人もの抗議デモが起こり、首相は一度は退陣の意向を示した。FT紙より、この一週間の動きがコンパクトにまとめられている。
 特にパパコンスタンティヌ財務大臣は、ギリシャ再建策のまとめ役として、欧州諸国では敬意が払われているが、国内では怒りの対象になっている。
 水曜日には、EU17カ国の合意が得られる見通しが不透明になったとして、投資家はリスク資産から引いた。ギリシャ国債金利は跳ね上がり、ポルトガルアイルランド国債金利もつれて高騰。欧米の株式市場は危機の伝播を恐れて下落した。
 ムーディーズは、ギリシャ向け貸出が多いとしてフランスの銀行を格下げした。
 いわゆる「a vicious spiral of sovereign and bank-credit downgrades」が始まりつつある。ここ数年間、何度も見た風景が再来しつつある。
 ギリシャの抗議活動の動きは、ギリシャ危機が表面化して以降、最大規模に達している。デモの参加者は、もはや政府を信用できず、ギリシャ政府が合意したリストラ案に怒り心頭だ。「IMF帰れ」という掛け声も飛び出す。 http://online.wsj.com/article/SB10001424052702304186404576386872733780978.html?mod=WSJ_hp_us_mostpop_read
 
 
 グローバル金融機関に対する資本賦課の動き。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/521d4450-9859-11e0-ae45-00144feab49a.html#axzz1Paa9t2R3
 対象となるのは少なくとも8つの銀行。米国が3(シティグループ、JPモルガン、バンカメ)、欧州が5(ドイツ銀行HSBC、BNPパリバ、RBS、バークレイズ)。2.5%の資本賦課が求められている。
 コアTier1比率を9.5%に維持する必要がある。 
 GSやモルガンスタンレー、UBS、クレディスイスは次のカテゴリー、すなわち9%のコアTier1比率で済む。
 さらに10から15の銀行が7%プラス0.5から2%の追加資本が必要なカテゴリーに分類されそうだ。
 規制当局は来週末にスイスに集まる予定。さらに、コンティンジェントキャピタルについても議論する予定。
 
 WSJより。大震災後、日本のママたちが、アクチィブに変化しつつあるというレポート。
子供の安全を守るため、ソーシャルメディアなどでつながり、積極的な活動を始めている。 http://online.wsj.com/article/SB10001424052702303499204576389094076351276.html?mod=WSJ_hp_us_mostpop_read