英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

米貿易政策の混乱

 米国株が大きく下落した。貿易戦争への恐れからなのだという。トランプ氏の側近は、投資制限に対する計画はまったくない、と発言するなど、一貫性のない発言に混乱が広がっている。中国政府とホワイトハウスの間ではジャブの欧州が続いている。そのことが完全なる貿易戦争に発展するのではないかと投資家の恐れが強まっている。とくに、テクノロジー株は大きな影響を受け、ナスダック指数は約3%近く下げた瞬間もあった。
 しかし、取引時間の終わりごろ、ホワイトハウスの貿易アドバイザー、ナバロ氏がCNBCのインタビューの中で、中国に対すると投資制限の計画はすぐにはない、と述べた。この発言は、ムニューシン財務長官がツイッターで、中国を標的にする政策を否定したことに続く発言である。ムニューシン氏は、投資制限は、米国のテクノロジーを盗もうと試みるすべての国に適用される、と述べている。
 ある機関投資家は、もっともリスクのある分野への投資は避けることが賢明だと考えている、と述べている。
 https://www.wsj.com/articles/global-stocks-slide-as-trade-tiff-threatens-growth-1529912423?mod=hp_lead_pos1

我慢強いECB

 ECBの政策について、リトアニア中央銀行総裁は、ドラギ総裁の最近の警告をまねて繰り返した。2019年10月までは利上げに関する議論はないとメッセージを送った。
 ユーロ圏の19か国からなる経済は減速しており、原油価格の高騰や貿易戦争につながりかねない緊張の高まりなど、脅威に直面しており、ECBは辛抱強い姿勢を求められている。
 彼のコメントはあくまで、2019年秋にのみ、利上げの「議論」を行うだろう、というものだ。すなわち、実際に利上げに踏み切るのは、早くても来年末、ということを意味する。すでに利上げを続けている米国との金利差はますます広がる。
 今年、輸出に焦点があたっているユーロ圏経済は急減速している。とくに半分を占める米国向けが顕著である。ユーロ圏のGDPの3割を占めるドイツでは、企業のセンチメントが6か月連続で低下している。貿易戦争に対する関心が高まっている。
 6月14日にラトビアのリガで開催されたECB理事会で、債券買取プログラムの手じまい計画が明らかになった。しかし、利上げは来年秋まで棚上げとなった。政策金利はマイナス0・4パーセントのまま、2年以上も続けられることになる。
 https://www.wsj.com/articles/ecb-could-discuss-raising-rates-from-autumn-next-year-top-policy-maker-says-1529916406

中央銀行の新たなマンデート

 中央銀行の新しいマンデート。サイモン・レンルイス教授。法人税減税やファンドを使って投資を促し、3%の生産性向上を目指しているのがイングランド銀行である。しかし、中央銀行は生産性に影響力を及ぼすことはできないので、こうした試みは失敗に終わるだろう。
 中央銀行ができるのは、景気循環をならして安定化させることのみである。しかし、この安定化は、中期的な時間軸では産出規模や生産性に影響を与えない。
 https://mainlymacro.blogspot.com/2018/06/a-new-mandate-for-monetary-policy.html

苦境のメルケル

 メルケル首相が難民問題で苦境に立たされている。EUの緊急首脳会談が開催されるが、ほとんど進展が見込めない。イタリアはシステムの根本的な変更を求めている。
 https://www.economist.com/europe/2018/06/24/an-emergency-eu-summit-makes-little-progress-on-migration