英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ケイン指名を断念

 曇り。

 Fedの次期理事に指名される予定だったハーマン・ケイン氏が、指名プロセスから撤退することになった。上院の反対ではなく、給与水準が折り合わなかったため、と公式には説明されている。

 トランプ氏によるFed内の政治的盟友をつくる動きはとん挫した。

 ケイン氏は月曜日にインタビューに答えた。しかし、実際には報酬が大きく削られることになる、とケイン氏は述べた。Fedの理事の年間サラリーは18万㌦である。

 ケイン氏は元レストランチェーンの幹部で、共和党の大統領候補でもあった。しかし、トランプ氏によるケイン氏指名n洗濯は、ウォールストリートだけでなく、キャピトルヒルからも激しい批判を呼び起こした。彼自身は否定しているが、セクハラ疑惑と特定の党派に偏っている点が批判の対象になった。

 https://www.wsj.com/articles/herman-cain-asks-trump-not-to-nominate-him-for-federal-reserve-board-11555950147?mod=hp_lead_pos2

 大手のプライベートエクイティが、「スーパーキャリー」という、特別報酬の率を引き上げた。一種のパフォーマンスフィーで、これまで20%だったのを30%に引き上げる。

 https://www.ft.com/content/36e778c4-4bfa-11e9-bbc9-6917dce3dc62

上昇するドルヘッジコスト

 ドルのヘッジコストが上昇し、米国債の海外投資家は、債券をヘッジせずに投資し始めている。もしドル安となれば、債券投資家には大きな痛手となる。

 貿易で加重平均した実効レートベースで、ドルは20年ぶりの高値を記録し、米国と欧州、日本の金利差も拡大している。それゆえヘッジコストが上昇し、米国債に対する投資は海外投資家にとって、実質的にはマイナス金利となっている。

 https://www.ft.com/content/431c89ec-611a-11e9-a27a-fdd51850994c

 低インフレはミステリーなのか。過去10年間、インフレ率はFedの目標水準を下回り続けた。コアPCEは平均で1.56%である。Fedは2012年にインフレ目標政策を始めたが、それより以前に暗黙のうちに2%を目標にしていた。それゆえ、長年にわたって目標を下回り続けるインフレはミステリーとされてきた。

 それは原油価格の下落や人口要因、グローバルな競争、労働分配率の変化や安全資産の不足、そして、アマゾンなどの台頭などに原因を求めてきた。

 しかし、こうした説明はFedが中長期ではインフレ率を決定できるということからすると、十分ではない。理論上は、Fedはインフレ率のトレンドを決める最終的な調停者であるべきだ。

 それゆえ、なぜインフレ率はこれほど低いのか、という疑問が出てくる。私の考えでは答えはシンプルだ。Fedは望む通りにインフレ率を決定できる。そこにミステリーはない。Fedがこの低インフレを選択したといえる。

 https://macromarketmusings.blogspot.com/2019/04/is-low-inflation-really-mystery.html

 

6大銀行決算

 ゴールドマンの決算。ウォールストリートの6大銀行の決算がまとまった。第1四半期の結果は、強弱合わさったものだった。資本市場にフォーカスした会社よりも、リテール銀行が全般的に好調で、トレーディングよりもディールメイキングが良かった。

 特にゴールドマンサックスに対する投資家の反応がもっとも決定的だった。決算発表当日のGSの株価は4%近く下落した。第1四半期の利益は事前予想に近い数字だったにも関わらずだ。

 アナリストらは、来年初めまで続く戦略的改革のせいだと考えている。

 ゴールドマンの時価総額は、帳簿上の資産価格を下回り続けている。一方、モルスタやJPモルガン、ウェルズファーゴ、バンカメは上回り続けている。

 JPモルガンは対照的な市場の反応を引き起こした。金利が上昇している中、同行は米銀の歴史の中でもっとも大きな純利益を上げた。決算発表の日、同行の株価は5.3%上昇した。JPモルガンに吹いた風はリテール銀行の象徴であるウェルズファーゴにも吹いた。

 https://www.ft.com/content/226906b0-61b7-11e9-a27a-fdd51850994c

利上げの閾値

 晴れ。

 Fedは利下げの閾値を設けることを検討している。経済成長に変化がないのにインフレ率が低下するようなシナリオで、利下げしなければいけなくなった時のことだ。

 そのようなシナリオは蓋然性が特に高いとはみなされていない。そして、利下げは4月末のFOMCで話し合いの議題になっているわけでもない。緊急性があるわけでもない。しかし、そうした行動の際の閾値は最近の幹部らのインタビューなどを通じてみると、トピックスになっていることがわかる。

 インフレ率は昨年、Fedが目標にしている2%を達成した。ここ数年下回った後の動きである。労働市場の情勢や減税により、インフレ率は上昇し続けるとみているが、物価上昇圧力は昨年秋以降、軟化している。もしインフレ率が2%の目標を当面の間下回り続けるのなら、FFレートを調整して切り下げることが必要だ、とシカゴ連銀のエバンズ総裁は月曜日に述べた。

 エバンズ総裁は2020年後半まで利上げを続けることを支持しており、彼の見通しではインフレ率はしばらく上昇を続けると予測している。しかし、コアインフレ率がここ数か月1.5%でとどまっており、その状態が続くのなら、そうした状況に神経質にならざるを得ないという。

 ダラス連銀のカプラン総裁も、利下げを支持しないが、1.5%インフレにとどまることを考慮に入れないといけない、と述べた。

 クラリダ副総裁はCNBCに答え、利下げは必ずしもリセッションのときだけではない、と述べた。

 最近の経済指標が示すのは、今年初め以降、経済の減速から回復が見られる、ということだ。そして、そのことで、Fedは待ちの姿勢をとる余裕が出ている。インフレ率が弱いことは利下げをする保証にはならないが、その一方で追加利上げをするには一段と高い障壁が出てきた。

 利下げに踏み切ると、トランプ氏がそのようにせよと命じているFedにとって、複雑な意味を持つ。トランプ氏が利下げをせよと命じる中で、仮に利下げをすると、政治的配慮はないと説明しても、中央銀行の独立性に疑問符がつくだろう。

 Fedがインフレ率をどう読み解いているのかについては4月29日に公表される。JPモルガンの予想では、3月のコアインフレ率の上昇率は1.6%。1月は1.8%だった。

 https://www.wsj.com/articles/fed-officials-contemplate-thresholds-for-rate-cuts-11555758001?mod=hp_lead_pos7

モラー報告の詳細

 晴れ。

 モラー報告書が示すのは、ビジネスマン出身の大統領が事実に対して無関心であり、難しい仕事をやりたがらないという実態であった。トランプ側近の連中も、直接要求を拒絶せずに、論争の多い命令を避ける傾向にあった。

 トランプ大統領は2017年6月に、選挙キャンペーンの元責任者にある指令を出した。その内容は、モラー氏の捜査は大統領は非常に不公平に扱っているという声明を、当時のセッションズ司法長官に出させよ、というものだ。

 大統領側近の人間たちはたらい回しをした挙句、結局、その指示を実行しなかった。この小話は、448ページに及ぶモラー報告書に数多く記された、ホワイトハウスの内輪話の一つに過ぎない。そしてそれらは数十人に及ぶインタビューに基づいている。

 https://www.wsj.com/articles/mueller-report-describes-a-businessman-president-indifferent-to-facts-unwilling-to-take-on-tough-tasks-11555688005?mod=hp_lead_pos2