英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

資本主義における空売りの「効用」

 晴れ。

 空売り業者は個人投資家軍団の反乱に直面している。FTのマイケル・マッケンジー氏の長文。

 ヘッジファンドに流される涙はやはり少なかった。まるで捕食者のように、これらの空売り業者らは個人投資家の怒りの標的となった。レディットのようなソーシャルメディア上で、個人投資家を食い物にするエリートとして描かれた。

 金曜日になり、空売り業者らはとうとうタオルを投げた。空売り業を20年にわたって続けてきたシトロン・リサーチは、売りを推奨するレポートを出さないと発表した。そして、今後は買いのみにビジネスを集中するという。

 メルビン・キャピタルに続く動きである。ヘッジファンド勢は苦々しい損失を被った。

 しかし、こうした熱い時期を踏まえても、空売り勢力は金融のエコシステムにおいて、重要な役割を果たしていることを忘れるべきではない。空売りヘッジファンドによって展開される取引戦略である。ブローカーから株式を借り入れ、市場で売り建てる。価格が下がったところで買い戻すことが前提だ。そのことによって利益を得る仕組みになっている。

 こうした空売りが起きると、それはビジネスモデルに問題があることを長期投資家に警告することにもなる。空売りがあれば、経営者は説明を求められ、疑わしい会計に目を向ける効果もある。

 例えば、ワイヤーカードの問題において、ヘッジファンドによる空売りは、彼らの示した疑問が正しいことを示した。ワイヤーカードは昨年、破産した。

 いわゆるロングショート戦略、強い会社を買いとして、問題のある会社を売りに立てる戦略であるが、そのことによってヘッジファンドは2020年に利益を享受した。ユーリカヘッジによると、平均的に17.3%の利益を得た。

 もう1つ、空売りが嫌われるのは、長い目でみて企業が成長していくという楽観論に水を差すからだ。

 https://www.ft.com/content/1236e026-9c7f-49f1-9ed3-2b7540dc9b35

 ロビンフッドはウォールストリートにアンチテーゼを突き付けた。過去1週間のあいでに、2つの現実が浮き彫りになった。

 オンラインのトレーディングアプリであるロビンフッドは、文化現象にもなった。ウォールストリートから株式市場を取り上げ、人々のための取引にしようという約束を実現したかのようにみえる。しかし、それがいざ実現すると、ロビンフッド自身が危機のさなかに陥った。

 https://www.nytimes.com/2021/01/30/business/robinhood-wall-street-gamestop.html?action=click&module=Top%20Stories&pgtype=Homepage