英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

バノン氏去る

 薄曇り。
 ホワイトハウス内部の権力争いが続く。焦点であったバノン氏はホワイトハウスを去ることになった。ナショナリスト的、ポピュリスト的政策を推し進めてきたアドバイザーが去る。しかし、これで混乱が収束するというわけにはいきそうにない。
 バノン氏の辞任は、ジョン・ケリー氏が政権に秩序をもたらそうとした取り組みの一環である。
 バノン氏の辞任は、トランプ政権における幹部の辞任としては、過去5週間で4人目となる。トランプ政権は議会で共和党が多数を占めているというのに、法案審議においてその利点を生かせないでいる。
 元投資銀行家かつメディアの幹部として、バノン氏はトランプ大統領が掲げるアメリカファーストという理念を推進してきた。この理念は経済面においては、経済ナショナリズムという形で現れていた。バノン氏は南軍のシンボルを支持する大統領を支持していた。そして、ホワイトハウス内部において、保護主義的な貿易政策を声高に唱えていた。
 彼の洗練された保守メディアの理解と白人労働者階級の有権者に対する理解は、昨年の選挙における勝利をもたらした。しかし、いまやそのスキルが、内外で強い支持者を形成すると同様に強力な反対者を生んでいる。
 バノン氏は新たに保守派のTVチャネルを立ち上げる可能性を議論している。
 トランプ政権からビジネス界も距離を置き始めている。億万長者のカール・アイカーン氏は、金曜日に特別アドバイザーを辞任した。
 バノン氏の辞任によって、ホワイトハウス内部で保守派の発言力が弱まる可能性が出てきた。
 注目はバノン氏の役割を受け継ぐ後任者だ。
 バノン氏の辞任には、最近出版された書籍の影響も指摘されている。「悪魔の取引」と題する本において、バノン氏は選挙の勝利にあたって多くの貢献を果たしたとして描かれている。これにホワイトハウス幹部らは狼狽したのだ。トランプ氏はスポットライトを浴びることを他人と共有したくない性格であり、この本の出版を遅らせる試みもあったようだが、失敗に終わった。
 https://www.wsj.com/articles/steve-bannon-leaves-white-house-staff-1503075345