アセモグル教授。トランプ氏の登場が、長期的にみて米国の国力をいかに損ねるのか、懸念している。
20世紀の後半、民主主義にとって主要な脅威は、軍人であった。アルゼンチンやブラジル、チリ、タイ、トルコなどの国では軍事クーデタによって体制がひっくり返ってしまった。欧州や米国はその意味で新興国にとって従うべきモデルだとされてきた。
しかし、現代民主主義にとって柔らかな泣き所が発見されてきた。一種の個人的ルールの導入によってである。一例がベネズエラのチャベス氏、ロシアのプーチン氏、トルコのエルドアン大統領のような例である。彼らは一応選挙で選ばれ、高い支持と政治上の正統性を得ているようにみえる。しかし、この過程によって組織にダメージを与え、民主主義を徹底的にダメにしてしまう見本のようでもある。残念なことに、その一例が米国にも誕生しようとしている。
トランプ氏はチャベス氏やプーチン氏と同じような政治的目標と戦略を共有しているようにみえる。彼らと同じく法の支配への敬意はほとんどなく、国家組織の独立性も尊重していないようだ。国家と個人の利益の境目もあいまいである。さらに、批判に対して我慢することができない。
https://foreignpolicy.com/2017/01/18/we-are-the-last-defense-against-trump-institutions/