英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

さびつくラストベルト

 中国で携帯電話メーカーがデフォルトした。投資家の間に不安がどこまで広がるのか、気がかりである。
 1億6600万ドルの債券の償還が見送られた。中国のCosunグループで、インターネット関連企業のデフォルトとしてはもっとも大きい。
 http://www.wsj.com/articles/a-default-in-china-spreads-anxiety-among-investors-1485513181
 クルーグマン教授。国境税調整について、専門的に解説している。仕向け地キャッシュフロー税(DBCFT)、消費税(VAT)との違いを解説している。
 まず、VATは一国に比較優位をもたらさない。これは2カ国の2企業のモデルを考えてみればわかる。
 しかし、DBCFTは異なる。付加価値に課税するVATと異なり、DBCFTは、土地などの生産コストも控除できる。このため、国内生産に関する補助制度とVATを組み合わせた税制だと考えることができる。
 http://krugman.blogs.nytimes.com/2017/01/27/border-tax-two-step-wonkish/
 同じくクルーグマン教授。ラストベルトはますます錆び付いてしまうとトランプ氏を批判している。
 トランプ氏は、米国を80年間もの長きにわたって続いてきた世界貿易の拡大を反転させようと躍起になっている。木曜日に、ホワイトハウスはメキシコからの輸入すべてに20%の関税をかけることを検討していると話している。このことは米国がNAFTAから脱退するだけでなく、すべての貿易相手国との合意を破ることになる。
 このことは米国の製造業をゆっくりではなく、急速に減退させることになるだろう。それはレーガン時代を思い起こしてみれば、わかる。
 レーガン氏は財政赤字を拡大させた。減税と軍事費増大によってだ。その結果、金利が上昇し、海外からの資金が米国に流入した。資金流入はドル高をまねき、米国の製造業は競争力を失った。貿易赤字は拡大し、雇用にしめる製造業の割合は長期的に低下した。これがラストベルトの発祥源だ。
 レーガン時代に製造業が減退したのは、極端な保護主義政策にも関わらず起きた点に注目する必要がある。とくに日本車には割り当て制が導入された。この結果、米国の消費者は300億ドル余計にコストを支払わなければならなかった。
 この歴史が繰り返されるのだろうか。トランプ氏によって、赤字が増大し、金利も上昇するだろう。その結果、ドルは上昇する。結果的にレーガン時代のような製造業没落を追体験することになるようにみえる。
 さらに考えなければならない要素もある。製造業はグローバル企業である。車しかり、飛行機しかり。いろんな国でつくられた部品を集めなければいけない。
 オバマケアと同じく、結局いちばん損を被るのは白人の労働者階級の有権者である。彼らは愚かなことにトランプを信じて投票してしまった。
 http://krugman.blogs.nytimes.com/2017/01/27/border-tax-two-step-wonkish/
 日本車割り当て政策に関する結果を分析した研究である。
 http://www.perc.org/articles/voluntary-export-restraints-automobiles