英字紙ウォッチング

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シリア難民の排除

 晴れ。気持ちの良い週末である。
 トランプ氏の公約が次々と現実のものとなりつつある。一種の悪夢でもある。
 シリア難民を対象にした難民受け入れプログラムが中止された。トランプ大統領が金曜日、シリア難民の米国入国を無期限で禁止する大統領命令に署名した。また、故郷を追われ、米国で何十年も定住してきた人々向けの広範囲の難民プログラムを4ヶ月間延期することも決めた。
 トランプ氏がペンタゴンで署名した大統領命令は、ムスリムが多数派を占める国からのいかなる者も、米国への入国を一時中止されるというものだ。この中にはイラクやシリアも含まれる。露骨なイスラム教徒敵視策である。
 トランプ氏の説明では、この命令の狙いは、過激なイスラム教徒テロリストを米国から排除するための手段なのだという。
 命令は同時にすべての難民プログラムを4ヶ月間停止することも含んでいる。この結果、2017年に5万人を受け入れる予定だったが、それが中止された。
 同時に、イランやイラクリビアソマリアなどの国からやってくる人々も米国への入国が禁じられる。昨年、オバマ大統領が命じたのにも関わらず、20数州の共和党知事が、シリア難民の定住を認めないよう動いた。この命令は早速、民主党からだけでなく、人権団体などからも非難が飛び出た。
 批判者は、この命令は中東地域において米国に対する憤りを激しくさせかねないと懸念している。フェイスブックザッカーバーグCEOも、米国は実際に脅威をもたらしている人々にフォーカスすべきだと述べた。
 しかし、共和党員の幾人かは、この大統領命令を賞賛している。その一人がポール・ライアン下院議長だ。
 第二次大戦後、最悪と言われる難民危機が起きている最中で、このような命令を出すと、追随する国が出てきかねないという懸念も浮上している。
 トランプ大統領が就任して以降、トランプ氏は10以上におよぶ大統領命令を出しているが、この命令は中でも圧倒的な意味を持っている。
 トランプ氏は金曜日、軍事的準備の見直しに関する特別行動にもサインした。軍隊を新たな飛行機や戦艦、新たなリソースに基づいて編成し直すものだ。
 http://www.wsj.com/articles/trump-is-signing-executive-orders-on-military-rebuilding-immigration-vetting-1485554165