英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ポンド安とECBのテーパリング観測

 曇り。朝は涼しい。
 英国のポンドがドルに対し、30年ぶりの低水準となっている。ブレグジットの影響がじわじわと効いてきた。投資家の懸念するところは、EUからの離脱が英国経済に悪い影響を与えるのではないかというものだ。
 火曜日の為替相場は約1%下落し、英国ポンドはドルに対し1・2719ドルをつけた。6月23日と比べると、およそ15%の下落である。ポンドはユーロに対してもおよそ0・8%下落し、3年ぶりの低水準である。
 この下落は日曜日に設定された。英国のメイ首相がEUからの離脱交渉は3月に始まると述べ、交渉の優先順位は移民のコントロールが貿易交渉よりも高いと述べたからだ。
 こうした言及は英国の指導者をEUのカウンターパートと争うことを意味する。
 英国ポンドはブレグジット問題が始まって以降、1・34ドルを上回ることはなかった。株式市場は歴史的な高値をつけた。背景には予想よりも良好な経済指標と、投資家がポンド安が大手企業にとってメリットをもたらすとみているからだ。FTSE100を構成する企業のうち7割りの収入は海外から得ている。
 しかし、ポンド安は企業の中に勝者と敗者をもたらす。輸入の多い会社はコスト高というデメリットを被る。
 通貨ストラテジストは、より一層のポンド相場の変動を見込んでいる。メイ首相の発言からうかがえるのは、ブレグジットのプロセスがよりハードなものになる可能性だ。EUからの離脱の条件が、当初想定されていたよりも良いものにならない可能性がある。
 今年に入り、ポンドは対ドルでもっともパフォーマンスの悪い通貨だった。G10諸国でみると、ほぼすべての通貨が米ドルに対し上昇した。しかし、ポンドは14%の下落。メキシコペソよりも大きい下落幅だった。
 http://www.wsj.com/articles/pound-drops-to-31-year-low-against-dollar-on-brexit-concerns-1475566159
 懸念材料としては、ECBのテーパリング観測がある。
 ECBの金融刺激策が削減されるのではないかという新たな心配事が大西洋をはさんだ国債市場の売りを幅広く誘った。10年国債金利は3日連続で上昇した。9月13日以来のことだ。
 トレーダーによると、触媒役となったのはブルームバーグニュースの報道だった。ECBの担当者が非公式にテーパリング、つまり、債券買取を徐々に縮小していくことで合意したと報じたのだ。
 ECBは過去2年間、徐々に債券買取額を引き上げてきた。その結果、先進国の国債の利回りは歴史的な低水準に沈み、年金や保険会社、ファンドマネージャーが利益を得るのを難しくしてきた。
 「もしパンチボウルを取り上げたらなにが起きるのか、みんな知りたいと思っている」。今日起きたことは小さな、小さなヒントである。そんなコメントも引用されている。
 http://www.wsj.com/articles/u-s-government-bond-yields-extend-mondays-rise-1475592388