英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

止まらぬ利回り低下

 曇り空の週末である。今週も忙しかった。
 米国債の利回りが歴史的な低水準となっている。株価はリバンドしているが、ブレグジットの余波が続いている格好だ。
 ベンチマークとなる10年米国債の利回りは金曜日、1・385%をつけた。米国30年債や英国10年国債の利回りも最低水準をつけた。債券投資家は英国離脱に伴う不確実性がマーケットをしばらく危機モードにすると予想することにかけている。そのことが中央銀行に刺激策をとらせることにもなるだろう。
 興味深いのが建国以来の米国債の利回り推移のグラフ。1790年からのデータが掲載されているが、現在はたしかに歴史的な低水準にある。
 歴史的には5%前後で推移してきており、山は建国当初と、1970年代後半の高インフレを受けて、ボルカー議長が利上げに踏み切ったとき。このとき短期金利は20%を超え、長期金利も15%前後に達した。
 しかし、その後、長期金利は低下トレンドにある。
 さて、英国問題は、いまの問題は英国の離脱がどのようなペースで行われるかと、スコットランドが英国にとどまるかである。
 辞任を表明したキャメロン首相の後継問題は、新たな展開をみせた。キャメロン後継の最右翼とみられていたオズボーン財務大臣は出馬しないと表明した。また、ジョンソン市長も不出馬を表明。野党・労働党も混迷を極めている。コービン党首は残留キャンペーンが精彩を欠いていたとして、党内から批判が出る始末だ。
 一方、オズボーン財務大臣は自身が長期目標として掲げていた2020年までに財政赤字をなくすという目標が達成できないことを認めた。英国経済が混乱するからだ。しかし、2020年までの赤字削減はオズボーン財務大臣の経済戦略の中核的部分だった。
 欧州中央銀行の幹部たちは英国に対し、国民投票後のロードマップを早急に示すよう求めている。不確実性のショックがユーロ圏の経済回復に影響を与えるからだ。
 http://www.wsj.com/articles/treasury-yields-hit-historic-lows-amid-brexit-fallout-1467414740