英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ラジャンとヘリマネ

 インド中銀のラジャン総裁とヘリコプターマネーと題する論考。ニューヨーカーのCassidyが筆者。
 インド中銀のラジャン総裁は、中央銀行界における輝ける星である。2013年にシカゴ大学の教授の職をやめ、デリーにやってきて以降、インド経済のパフォーマンスを他の新興国とは異なって良好な状態に導いてきた。GDP成長率は低迷から脱脂、インフレ率は半分になった。
 インド国外において、ラジャン総裁は世界の金融システムに対し、警告を発したことでよく知られている。
 その総裁が今週初め、新たな警告を発したのだ。経済成長を促進するために紙幣を印刷することに走ることの危険性について、である。
 ラジャン総裁は量的緩和政策は有効性を失ったと述べた。さらに、中央銀行が経済を活性化させる別の手段として、巨額のマネーを創出し、公衆に配るという概念について批判した。この考えはたびたびヘリコプタードロップとして知られる。ミルトン・フリードマンが数十年前に、半分はジョークとしてこの比喩を使ったからだ。
 昨年以降、英国の前の金融サービス庁長官のアデア・ターナーバーナンキ前議長らがこの提案について論じている。ここ数ヶ月、多くの先進国経済は低成長に苦しんでおり、この提案が注目を集めている。バーナンキ前議長は、こうした極端な状況において、政治家が財政刺激策を選択肢から排除したときは、このヘリマネ提案はベストな代替策だ、と述べた。
 先週に至っては、ビル・グロスが投資家向けノートの中で、数年のうちに、主要な中央銀行はこのヘリマネを採用せざるを得なくなっているだろうと予想した。
 ヘリコプターが複数飛ぶという荒っぽい結論か、財政緊縮策の再来により、不況が長引くか、だろうと。政治家や中央銀行家たちは、死ぬよりは、ヘリコプターを飛ばすことを選ぶのではないかとビル・グロスは考えている。
 http://www.newyorker.com/news/john-cassidy/raghuram-rajan-and-the-dangers-of-helicopter-money?mbid=rss
 これがラジャン総裁のロンドンスクールオブエコノミクスにおける講演である。
 http://www.lse.ac.uk/newsAndMedia/videoAndAudio/channels/publicLecturesAndEvents/player.aspx?id=3494
 ビル・グロスのメモ。
 http://www.reuters.com/article/us-funds-janus-gross-idUSKCN0XV1AL