ミネアポリス連銀の前総裁で、現在はロチェスター大学教授のコチャラコタ氏が早速、日銀の今回の決定について論評を寄せている。
彼は5対4という評決結果に注目し、FOMCに当てはめて論評している。
FOMCにおいては、よく知られているように、コンセンサスを重んじて運営されている。少なくとも過去25年間、3人以上の反対票が入った決定はなかった。そして、地区連銀総裁から過去10年間、ノーという投票はなかった。
この決定の方式は法律で決まっているわけではない。むしろ、連邦準備制度理事会の慣例(内規)といえるものだ。そして、この慣例は、メディアやFedウォッチャーによって補強されている。
しかし、このコンセンサスの伝統には3つの主な弱点がある。
一つは、コンセンサス運営は現状維持バイアスを強く持つ。その結果、最新のデータに基づいて金融政策を柔軟に運営する傾向を持ちにくくさせる。現状のFOMCの慣例によれば、重大な政策の変更は、スーパーマジョリティがなければ、決定できない。
2つめは、コンセンサスを重視する伝統の結果、少数派の影響力が相対的に大きく出る可能性がある。
最後に、コンセンサス重視の伝統は、声明文の明瞭さを失わせてしまう。 https://sites.google.com/site/kocherlakota009/home/policy/thoughts-on-policy/1-29-16
一般的に、日本のほうがむしろコンセンサス重視、米国のほうが反対派を押し切っても果断な決定を行うカルチャーを持つイメージがある。
しかし、金融政策においては、正反対の「決める文化」があるという指摘は新鮮である。