英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ブランシャールの時代

 IMFの看板エコノミスト、オリバー・ブランシャールが9月末で退任する。今後はフレッド・バーグステンの率いるピーターソン財団に所属し、エコノミストとしての活動を続けるという。
 ブランシャール氏は金融危機の直前の2008年1月に就任。リーマンショックなどを経験してきた。当時を振り返ってブランシャール氏は「我々にとって金融危機の経験はトラウマを残すような経験だった」という。財政政策の役割、規模に関するそれまでの考え方を根底から覆すような経験だった。
 今後はもう少し絞り込んだテーマについて、より深く考察してみたいと述べている。広く浅く回答する姿勢から、より狭く深く考える方向へ舵を切り替えようとしている。そのうちのひとつのテーマが、各国が採用している資本移動規制の手段について、だという。
 http://www.imf.org/external/pubs/ft/survey/so/2015/res083115a.htm
 マレーシアで起きたスキャンダルが波紋を広げている。政治資金制度改革につながりそうだ。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/19a1bf72-5455-11e5-9497-c74c95a1a7b1.html#axzz3kwCTPDS1
 マレーシアの危機は政治危機にとどまらない。原油価格の低落や隣接する大国、中国経済の低迷、米国の利上げによる波紋が同国経済にどのような影響を与えるかが注目している。この記事は東南アジアで3番目に大きい国のゆくえについて、97年の金融危機との違いについて考察している。
 97年の危機当時と比べると、同国の経済はずいぶんと改善した。経常収支は黒字となり、外貨準備高は2倍になった。
 これら経済の基礎的な条件が改善しているのにも関わらず、マレーシアはアジア諸国の中でも脆弱にみえる。その理由は原油価格の低迷に帰着する。多くのアジア諸国原油輸入国となっているが、マレーシアはそうではない。昨年、政府の収入のうちの3割は原油やガス関連だった。今のところ経常収支は黒字だが、その黒字の水準は徐々にきり下がっている。
 マレーシアはタイトスポットであり、商品価格の低下の影響を受けている。さらに、借り入れに依存している点も弱点となっている。
 外貨準備高は2年前は借り入れの3・7倍もあったが、現在は1倍に縮小している。
 マレーシア通貨のリンギは下落し、対ドルで17年ぶりの水準だ。政府は資本規制を導入している。
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/96d3f610-50bb-11e5-8642-453585f2cfcd.html#axzz3kwCTPDS1