英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

プーチンのロシア

 曇り。今日は雨模様。
 ロシア暗殺事件の続報。この記事は長いが、ネムツォフ氏の来歴を語ることによって、ロシアの暗部をよく描いていて読ませる。
 ネムツォフ氏の30年にわたるリベラル活動家としての軌跡は、民主主義から遠いロシア政治の現状を象徴している。氏は当初、ロシアには自由を求める多くの人々がいると考えていた。しかし、それはナンセンスだという。自由と繁栄を求めて危険を冒す人は、非常に少ないのが現実だという。ロシアには、「権威というものに対する遺伝的とも言える恐れ」があるとさえいう。
 この記事で紹介されているのは、昨年の出来事だ。ネムツォフ氏が拘置所から釈放された後、こう尋ねられた。「なぜたった一人で、危険なチャレンジを続けるのか」と。ネムツォフ氏はこう答えたという。「私には選択肢がない。もうこの道から逃れることができないんだ」と。しかし、氏の55年間の人生も先週金曜日で終わってしまった。
 この事件はプーチンのロシアの新たな現実を象徴しているかのようだ。そこでは、政府系メディアがネムツォフ氏らを反逆者とレッテルを張り、ウクライナ戦争への批判を封じ込めている。
 しかし、今回の事件はクレムリンに近い層にも衝撃を与えたようだ。
 興味深かったのは、2000年代の原油価格高騰。1990年代終わりにロシア経済を崩壊して苦境が続いたが、原油価格高騰によってロシア経済と人々の生活水準が一変した。その結果、反政府活動を続けるネムツォフ氏への支持は小さくなったという。
 ネムツォフ氏は何度も何度も投獄されている。
 http://www.wsj.com/articles/boris-nemtsovs-career-traces-arc-of-russias-dimmed-hopes-for-democracy-1425168024?mod=WSJ_hpp_LEFTTopStories
 そして、批判の指すところはプーチンに向いている。ネムツォフ暗殺がウクライナやCIAのせいにされてもおかしくない、と皮肉るコメントも飛び出している。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/36fa6f18-bf74-11e4-99f8-00144feab7de.html?siteedition=intl#slide0
 おりしもエストニアで総選挙が行われている。親プーチン派が僅差で勝利しそうだという。なんとも皮肉な事態である。親EU、親NATO派は僅差で後を追っている。
 選挙の争点は緊縮財政と経済政策だ。しかし、真の争点は隣国ロシアとどう向き合うのか、という点だ。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/1decfbac-be8a-11e4-a341-00144feab7de.html#axzz3T6d4pkQh