英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

影の政策金利

 バーナンキ議長はバブルを懸念しているのか?FOMCで出口戦略が議論されるのに伴い、クレジットバブルをめぐる議論が盛り上がってきた。
 http://economistsview.typepad.com/economistsview/2013/02/fed-watch-bernanke-not-afraid-of-bubbles.html
 セントルイス連銀のブラード総裁が2月21日、「現行の金融政策の見方」と題するスピーチを行っている。言葉づかいが相変わらず独特で、読んでいて興味深い。
 Fedは2008年12月にゼロ金利政策に踏み切り、将来にわたってゼロ金利を続けるとコミットする、いわゆるフォワドガイダンス政策を採用した。そして、昨年12月にはゼロ金利を継続する期間を明示するやり方を変更し、ゼロ金利の継続期間をマクロ指標に関連づける「threshold」アプローチを採用した。
 ここでブラード総裁は、ゼロ金利政策下における「影の短期金利」(shadow short-term rate)という概念を持ち出している。テイラールールによって導き出される金利より、影の政策金利は現在250ベーシスポイントほど低いという。つまり、実際の政策金利は、理論上導き出されるあるべき金利水準より低く、つまり緩和的に運営されているのだという。
 また、政策金利を2015年半ばまでゼロに保つという時間軸政策をとることで、政策委員会に悲観論の問題を生じさせると指摘している。そして、ある一定の経済条件に金融政策の判断基準をかからせる政策は、時間軸政策ではなく、「state-contingent」政策だと表現すべきだという。
 セントルイス連銀の試算によると、失業率が6・5%に低下するのは2014年の6月。しかし、テイラールールによると、2013年の8月には金利を引き上げるべきだと試算されている。この13年8月と14年6月までのギャップは、「ウッドフォード期間」と呼ばれている。
 QE、いわゆる量的緩和を終了するうえでも、4つの点を考慮する必要があると述べる。一つは、労働市場が実質的に改善しているかどうかを確認する必要があるが、さまざま点から確認する必要があるという。インフレとインフレ期待にも留意する必要があり、最後にFedのバランスシートの大きさと出口戦略の難しさに言及している。金利が上昇するときは、金融資産の価格が下落し、そのことが金融政策の決定を複雑にしうると述べる。
 http://www.stlouisfed.org/newsroom/displayNews.cfm?article=1673&utm_source=Twitter&utm_medium=SM&utm_campaign=Twitter
 米国債の市場は十分にテールリスクの減少を価格に反映しておらず、リスク資産市場の価格上昇を反映することもできていないと、投資家は信じ始めている。昨年12月から米国債10年ものの金利は上昇している。現在、10年債の利回りは1・9%になっている。今後10年債の金利は上昇していくと予想されているが、これは金利が誤って価格付けされているのか。それとも投資家が何かを見逃しているのか。
 しかし、バンクオブアメリカ・メリルリンチの債券ストラテジストは、最近の金利上昇は財政の崖が回避されたこと、第4四半期の経済指標が好調であることなどによって正当化されるという。
 http://ftalphaville.ft.com/2013/02/22/1396292/are-rates-mispriced-or-are-investors-missing-something/