英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

米地方債の危機

 今日も暑い夏日。仕事で昼間のテニスはキャンセル。最近は心を入れ替えて、きちんと更新を続けられている。良いことだと自画自賛。8月はどれくらい継続できるだろうか。
 読み返すと、だんだんこのブログにもスタイルが出てきたと感じる。

 FTトップは最近の英国の銀行が収益を回復してきているという話題。
 http://www.ft.com/cms/s/0/7293a7f0-a18e-11df-9656-00144feabdc0.html
 RBSの決算がこの3年間で初めて、半期決算で黒字に転換。不良債権処理費用の減少が大きく寄与した。5大銀行の上半期決算は、合計で150億ポンドの利益(税前)になった。株価も上昇し、ロイズとRBSに注入された公的資金に関して、納税者は67億ポンドの帳簿上の利益を得ている。620億ポンドの公的資金がこの両行に注入されたが、持分売却(公的資金返済)は来年以降になる模様。
 しかし、経営者も、アナリストも、本格回復なのかについては、懐疑的もしくは警戒的である。それは次のアナリストのコメントに象徴されている。
 “Are we over the worst? Yes. But is the crisis over? No,”
 資本と流動性に関する規制が強化され、バランスシートに対して課税も課される。スタンダード・チャータードとバークレイズは、もし英国で活動することが競争上不利であるなら、海外へ脱出することを示唆した。


 米国の失業率統計について。7月の雇用は事前予想より悪かった。来週のFedによる金融緩和観測が強くなっている。
 http://www.ft.com/cms/s/0/43fdc288-a0d3-11df-badd-00144feabdc0.html
 失業率は9.5%のまま。予想は9万人だった新規雇用は7万1000人にとどまった。民間部門の雇用創出ペースは、3月や4月より落ちている。これを受けて、株価は下落。債券は買われた。
 しかし、Fedのバランスシート規模は2.3兆ドルを超えている。金融緩和といっても、この規模を大胆に大きくすることは想定されていない。
 労働統計の弱さは、11月の中間選挙において、オバマ政権や民主党にとって打撃となる。


 マーケット関連のニュース。
 http://www.ft.com/cms/s/0/a2d0b6ec-a125-11df-bdea-00144feabdc0.html
 金曜日の株価は香港ハンセン以外は軒並み下落。ドル円レートでは、ドル安円高となった。ドルはユーロに対しても下げた。
 global safe havenの債券に資金は流入した。10年もの米国債は8ベーシス下げて2.82%。2年ものの米国債のイールドは下落。2年ものと30年ものの米国債のスプレッドは変わらなかった。二番底懸念はそれほど大きくなっていないことを意味している。
 金は1オンス1200ドルを超えた。
 jobless recoveriesという指摘が出ている。
 来週のFedの対応について、dovishであるべきだという指摘がある。つまり、買い入れているMBSの償還資金を再投資し、バランスシートは拡大しないというものだ。 


 米地方政府の財政危機に関する記事。
 http://www.ft.com/cms/s/0/41bb4f50-a01e-11df-81eb-00144feabdc0,dwp_uuid=ea77f440-94f2-11df-af3b-00144feab49a.html
 上院は、地方政府に260億ドルの支援を行う法案を可決した。支援の中核は低所得層に関する医療保険「メディケイド」に関する160億ドルの支援。州知事たちがこの数ヶ月間、熱心にロビー活動していたものだ。
 

 マネーサプライブログより。Fedの対応について。
 http://blogs.ft.com/money-supply/2010/08/06/the-feds-possible-baby-step/
 雇用データが弱く、来週のFOMCが注目される。しかし、Fedがアグレッシブに対応すると予想する向きは少ない。しかし、選択肢を議論しておく意味はある。その中で、浮上しているのが、前述した、MBS投資分の再投資。これが金融緩和への第一歩(baby step)になるのだろうか。


 アルファビルより。ギリシャ財政再建について。
 http://ftalphaville.ft.com/blog/2010/08/06/308921/the-hellenic-patient-revisited/
 短期では財政再建は成功だが、中期的にはどうだろうか。債務のGDP比を2012年から2013年に150%以下に抑えるのがポイントだが、可能なのか。前例であるアイルランドは、この目標を達成するために、実質GDPが11%も落ちた。
 ただ、先行して痛みを強いる改革は、長期的にみれば、痛みは報われる。財政再建が成功すればするほど、債務のデフォルトの誘因が高まる。